2話

ライアヴィスーー王都から三十分程で行ける宿場町として有名で、いつも人で賑わう活気のある場所だ。ちっこい身体で必死にもがくエネミーを小脇に抱えつつ、俺は高級ホテルのスウィートルームを取った。魔王の娘で際限のない程の魔力量を持ち、無詠唱でどんな魔法でも扱えるーーらしいので、無理矢理抜け出そうと思えば出来ると思うんだが。

「ぷはぁ……あんた変態なの? 意味わかんないんだけど」

部屋に入り、ベッドの上でエネミーを離してやる。早速文句を言われたが気にしない。

「王様から、エネミーちゃんを守る為だよ」

ニヤァっとしながら言う説得力の無さである。不審者……には見えないよな。俺の格好は完全に女の子だし。ちょっと怖いお姉さんレベルだろ。

「その顔で言われると説得力無いわね……まあ、別に良いけど」

呆れきった顔をしながらエネミーが言う。諦めが早い子で助かったぜ。けどそんな諦めが早いと、王様の元へ行った時が心配だ……あいつ監禁して洗脳するタイプだから諦めたらそこで終わりだよね。魔王城で幽閉されてたって事は恐らく世間知らずの箱入り娘。そんな状態でこのまま放っておけば良くて野垂れ死、悪くて粗悪な娼館行きである。

「俺は最長距離で魔王城……つまり君のお父さんの元に行く訳だが……着いてくるか?」

ちなみに拒否権はない。この子にはじっくり外を堪能してもらって、お家に帰って貰うぜ。まあ、拒否られた時にどうするか、考えとくか……。

「外の世界に興味があるから、問題無いわ」

理解が早い子で助かったぜ。泣き喚かれても外に音は漏れない筈だから特に問題は無いけどな!……と、なんかこう言うと悪役ぽいな。まあいいか……王命に反しているのは確かだし。


▼エネミー が 仲間 に なった!

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