その後の話
「おとぎ話の世界」と言われていた「あちら側」の存在が、世界を放浪していた王子によって公表されてから数ヶ月、「あちら側」との契りを破ったと見なされ戦争間近になったところで魔王が秘匿していた娘を「あちら側」に受け渡す事を条件に和平がもたらされ、僕たちの狭い世界は「あちら側」とくっつく事によって広がった。そもそもの発端である放浪王子(今は「こちら側」の国の王様をしている)の頑張りにより、特に目立った差別も起こらず、共存が確立して数日が経った。戦争を危惧して徴兵に参加したは良いものの、結局上が全て解決させたので職を失ってしまった。魔物は増えたものの、平和でしかない世界で、これからどうしようか。
【幸福世界の二人旅】
「ソワードさんっ! 朝ご飯出来ましたよぉ」
ぼんやりと考え事をしていると、愛しいお嫁さんに声を掛けられた。シンプルな黒いワンピースにフリフリの可愛いエプロンを着用した桃色のうさぎさんみたいな天使(種族は僕と同じ人間である)ーーそう、リルチェちゃんだ。僕のお嫁さんであるリルチェちゃんは料理がとっても上手な上に戦闘も強くて可愛い。ふと立ち寄った料亭で、荒くれ者に絡まれているのを助けた時に所謂一目惚れをしたのだ。リルチェちゃんの方もその時僕を好きになってくれたらしく、わざわざ実家を出てまで僕に付いてきてくれたのだ。
「うん、ありがとうリルチェちゃん。 今日はお魚?」
「はいっ! ソワードさんに喜んで頂きたくて……早起きして釣ってきた新鮮なお魚さんですっ!」
「わざわざありがとうね。ただ、平和とはいえリルチェちゃんは可愛いんだから、犯罪者に狙われたら危険でしょ? 次から僕も同伴するように。どんなに朝早くても良いから、ね?」
リルチェちゃんのふわふわした桃色の頭を撫でながら、めっと注意を入れておく。リルチェちゃんは可愛い上に気遣い屋さんだから、こう言わないと頼ってくれないんだよね。
「わ、分かりましたけどぉ……ソワードさんも私と同じ女の子なんですから、私にも守らせて下さぁい!」
顔をトマトみたいに真っ赤にさせて言うリルチェちゃん尊い。可愛い。僕と同じようで違う赤い瞳をうるうるさせるとか卑怯すぎる。僕の嫁可愛い。
「うん、分かった。約束する。」
顔の破顔が抑えられない僕は、本当に幸福だ。
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