エンディング

兄さんが死んだ。死んでしまった。あんなにも呆気なく、殺されてしまった。信じられない。だって僕の兄さんが、あんなに呆気なく死ぬはずないんだ。追手とやらは全員僕が殺した。兄さんを殺した奴も僕が殺した。全員殺しても兄さんは動きやしない。

「……ソワードさん」

リルチェちゃんの、鈴のような声が聞こえる。

「旅を、しましょう。ソワードさんのお兄さんを探す旅を。ソワードさんのお兄さんは死んでなんかないんです。私と、探しに行きましょう?」

それは、それは余りにも甘い誘惑の言葉だった。僕は、迷わずにその手を取った。

「そう、だよね。僕が憧れるシザリス・リッパーはこんな所で死なないんだよ。兄さんは生きてる」

リルチェちゃんは、ただ微笑んで、その手をしっかりと握り返してくれた。

「ねぇ、兄さんは何処に行っちゃったんだと思う?」

「ん~、アリスさんと両想いになって、結婚しちゃったじゃないですかぁ」

リルチェちゃんは、僕の手を離さない。

「そっか。そうだったっけ。そうだよね。兄さんは生きてるんだから、そうだよね」

「はい! これからも、よろしくお願いしますね、ソワードさん」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る