18話

なんという事でしょう。アルバート君が放火罪で逮捕されてしまった。我々はおかしい人を亡くしてしまうのか……。

「俺は勇者だぞ?! シザリスっていう偽勇者が犯人だ!! オイ! 聞いてんのか?!」

「話は後で聞きますから」

あの後すぐ、何処かで待機していたのか大柄かつ屈強な村の警備隊二人によって、油断しきっていたアルバートが逮捕されてしまった。全く気付かなかったがアルバートは自らの故郷を燃やした挙げ句アリスさんを誘拐したとかで国中に指名手配されていたらしい。アルバートの事を王子様だと常日頃から言っていたリルチェちゃんは放心状態でソワードに付き添われている。

「あ、アルバート様が……嘘ですよね、こんなの……」

「リルチェちゃん……」

その潤んだ赤い瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ、やがて溢れ出していく。そのままソワードに連れられて行った。ちょっと怖いが愚かなほどに一途で、それでいて色々と多感な子だ。初恋の相手が犯罪者だったらそりゃあショックで寝込むレベルだよな……という納得感を覚えつつ、さりげなく自室に連れ込んだであろうソワードの手際の良さに成長を感じた。

「とりあえず、積もる話もあるんだから家行こ~!」

このバカ兄貴、本当に空気ってもんが読めないのだろうか。それとも狂ってしまっているのか。どちらも当て嵌まっているからマル兄さんはマル兄さんなのかもしれない。

     ―――――――

「うっわぁ……広いわねぇ……」

「まぁ、一応村のカミサマ、ってされてるからね。

特別待遇ってやつだよ~」

「相変わらずカミサマってやつは凄いなァ~憧れちゃうなァ~」

と、言っているが広かった我が家は半壊しており、ちょっと見ていて悲しくなってしまう。

「かなり見苦しくなっちゃったけどね~! ささ、入って入って~」

かろうじて形を成している広間に通され、俺達の積もりすぎている話し合いが始まった。

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