14話
リーバルダーに別れを告げた俺達は、川沿いにある魚介料理が美味しいと噂の鍛冶業が盛んな町『ベール』にやってきた。目的は無論、魚介……ではなく、エネミーと俺以外の装備調達である。
「……臭いわね、これが魚介の臭いなの?不愉快なんだけど」
「その内慣れるから大人しく俺の背中に身を預けとけ」
いつもの事ながら俺におんぶされつつも毒は吐いていくエネミーさんである。
「ねぇ兄さん、僕だってエネミーちゃんをお姫様抱っこして運ぶぐらい余裕なんだけどそろそろ代わってくれても良いんじゃないかなぁ?」
「私に代わってくれても良いんですよぉ? エネミーさんあんまり私の所来てくれないので優先すべきでは?」
全く持って騒がしい奴等である。最近寒いからこの温もりは手放さないぜ!
「オラそこ退いた退いたー!超カッコいいモード様と愉快な仲間達のお通りだぜ!」
なんだか騒がしい荷馬車も通り過ぎて行った。この町は相変わらず平和で安心した。
「ねねねおにーちゃん、防具探してるんだったらウチがオススメだよぉ」
「ついでに武器も新調しとけよ!うちの武器は世界一強えぞ~!」
囲まれた。ロリコンの気があるソワードとブラッドは可愛らしい二人にデレデレだ。
「モモもリヤも久々だな~背、伸びたんじゃないか? あ、そっちの二人には一番良い装備で頼むわ」
エネミーを地面に置きながらひとしきり宣伝し終えた馴染みの店員達に声を掛けた。リヤという少女は人形のように整った造形をしている将来有望な幼女で、エネミーよりも幼いのに大剣をぶん回せるアクティブで元気な武器屋の看板娘であり、俺の武器である巨大な鋏を二つに分けたものはここに頼んで作ってもらっているのだ! そしてモモというリヤの姉貴分みたいな少女は占い師志望で、将来的にリヤと共に旅立ちたいと思っている夢見る乙女であり、大人しくお淑やかな美少女に近寄ったらいつの間にか全財産持って行かれたという噂が立っている程強かである。年下女子が好みど真ん中なソワードにとって、ここは地獄のような天国なのかもしれない。
「お触りは追加料金なのですよ~シザリスさん!」
ぷくぅ、と可愛らしく頬を膨らませつつも揺るぎなく金をせびって来るのが微笑ましい。そう思いつつもそっと手を引っ込めた俺だった。
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