12話

簡易闘技場にてーー俺とソワードはお互いに武器を構え、戦闘体制に入っていた。どうしてこうなったのかはよく覚えていないが、まあきっとどうでも良い事なんだろう。村の人達も観戦に来ており、俺とソワードどっちが勝つか賭けている。エネミーとブラッドは時間的に昼寝でもしてるのかな? 鼻血を出して幸せそうにエネミーの添い寝をするブラッドを想像すると微笑ましい要素が無い。

「こうして剣を交えるのって久しぶりだね、兄さん」

「あぁ、そうだな。今回もコテンパンにしてやんよ」

俺の武器は大きな鋏を二つに分かれさせた双剣である。それをクルクルと弄ぶ様に回し、構えを取る。それを戦いの合図と見たのか、ソワードが風の様に襲ってきた。それを間一髪で回避し、そのまま無防備なソワードの腰辺りに鋏の持ち手部分を思いっきり叩き入れる。と、ソワードは悔しそうなうめき声を出しながらその場に倒れた。

「よっしゃ俺の勝ちー」

武器を収納し、腰を痛めたであろうソワードに肩を貸してやる。

「兄さんって騎士道精神っていうか、もっとこう、白熱した兄妹の美しい戦い! みたいなのに興味ないよね」

「楽に済ませたいからな。金貰えるなら別だけど」

ソワードの腰をさすってあげながら宿に戻る。腰が復活するまで、この村に居させてもらう事にしよう。


「と、いうわけで今日からふかふかベッドはソワードのものだ。俺らは雑魚寝すんぞ」

「エ“ッ?! 私ソファーじゃダメですか? エネミーさんと一緒に寝たいんですけど」

「ブラッドの鼻息気持ち悪かったわ」

ソワード腰痛問題にあたって、困るのが寝場所である。ベッドは一つしか無い為、自然とエネミーと誰かという組み合わせになり、その他は床で雑魚寝をするのだ。ソワードはこの時ガッツポーズを決めていた。

「エエエエエエネミーちゃん! 今日から僕と一緒に寝ようね!」

それにしても我が妹、緊張し過ぎだろ。

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