概要
「羊」が入ることわざを、貴方はご存知ですか?
小学五年生の主人公・三上蒼介は、冬休みの宿題で、来年の干支である「馬」の文字を使ったことわざを調べて作文するという課題を与えられる。
来年に12歳で年男・年女となるクラスメイトたちにちなんでの宿題だが、早生まれである蒼介の生まれ干支は「羊」。
馬だと簡単に思い付くのだけれど、羊のことわざなんて聞いたこともなく、蒼介は「羊」が入ることわざを探しはじめた。
そんな中、年始恒例の母の実家に家族で向かう。その田舎町には、奇妙な風習があった。
来年に12歳で年男・年女となるクラスメイトたちにちなんでの宿題だが、早生まれである蒼介の生まれ干支は「羊」。
馬だと簡単に思い付くのだけれど、羊のことわざなんて聞いたこともなく、蒼介は「羊」が入ることわざを探しはじめた。
そんな中、年始恒例の母の実家に家族で向かう。その田舎町には、奇妙な風習があった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!単純しかし深い、奇妙な掛け声に誘われ
冒頭から凧上げのシーン。
とてものどかな、和やかな、風に吹かれて口角が上がるような。
でも。
その地域の凧上げには、奇妙で不可思議な風習が隠されていて。
十一才の、まだ無邪気さの残る蒼介くんには、寝たきりで意識不明のお母さんがいます。
一度も言葉を交わしたこともないけれど、彼女はどんな知識があって、どんな風に遊んでくれるんだろうか──いつも少し気掛かりでした。
お母さんの田舎へ帰省した際に、先の奇妙な風習と出逢う蒼介くん。
宿題の『ことわざ調べ』とも相まって、好奇心と恐怖心の狭間で蒼介くんは少しずつ調べていきます。
ヒヤリ、ゾワリは鳥肌もの。
ラストの三話も鳥肌もの!
夏にももち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その土地では正月に「鬼」が描かれた凧が上がる
告朔の餼羊(こくさくのきよう)。
意味を失ったからといって古くからの風習を廃止してはいけないという意味の言葉ですが、本作はそんないつ廃止されてもおかしくない田舎に伝わる風習にまつわるお話。
まず特筆すべきは雰囲気作りの上手さ。
小学生である蒼介の視点から描かれるお正月の田舎の風景は淡々としつつもどこか不穏な物を感じさせ読者を妙に惹きつける怖さがあり、その不穏さは話が進むにつれ具体的な現象へと形を変えていき、やがて夜中に聞こえ始めるどこかからの呼び声……。
論語に記された故事、意味がよくわからないまま田舎で行われる風習、そして蒼太が生まれたときから意識を失ったままの母親という三つの要…続きを読む