第2話「鉄の箱は花に厭われ」

第2話あらすじ

 冬の終わりが近づくころ、『私』は先輩の紹介で、ある遊郭からの依頼を引き請ける。

 調律の対象は鋼索通信――鋼索と箱を用いた単純な仕組みの通信装置であった。かつて物珍しさから花街に無数に導入された鋼索通信は、いまや陳腐さと管理費の関係でどんどん数を減らしていた。

『私』は仕事先の遊郭『〇鉢まるはち屋』で、鋼索通信が置かれた部屋の主、福寿ふくじゅと出会う。彼女は機関調律と鋼索通信の仕組みに無邪気な興味を示すが、調律の回数を重ねるにつれて……。

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