第24話《クレーンゲーム》

「うわー!いろんなクレーンゲームがあるねー!どれしようかな〜」


おおう……結構あるな……

得意とはいえ、久しぶりだからな……できるだろうか……


「あ、このぬいぐるみいいね〜。この初音ミクのぬいぐるみ。欲しいな〜」


「おお。これ……か……」


渡部が指を指したのは、初音ミクのぬいぐるみが積んであり、クレーンが三本爪のものだった。

三本爪か〜……これ弱いんだよな〜……取れるかな……

……いや、取れるか取れないかじゃない。

取るんだ。


「よし。任せろ。取ってみせる」


「え?ありがとう!本当に得意なのか見せてもらうね!」


「おう!よく見とけ!」


一回で取れるとは思っていない。

五回で取れればいいところだろう。

でも、絶対に取ってみせる。

たとえ何円かかろうと取ってみせる。

渡部が欲しいと言う限り。


「ここを……こうして……これでいい感じに動くはず……」


「お、おお……な、なんかガチっぽい……」


「よし……これで近づいたから……こうやって向きを整えて……」


よしよし……ここまで順調だな。

でもここからだ……ここからが難関だ……

ここからは今まで以上に慎重にしないと、取り返しがつかなくなる恐れがある。

よし!集中し直し!


「こうして……ここ……あ、クソっ!ちょっと遠かったか!いや、まだ修正できる……」


「ま、まだ大丈夫なの……?」


「ああ……まだいける……まずは戻して……よし、うまくいった……向きを整えて……よし、後は……」


「あ、後は……?」


「今度はしっかりと……よし!うまくいった!これで……」


「おお!!取れたー!!」


「よおし!予定より少し使っちまったけど、取れてよかった!はい、渡部」


「うん!ありがとう!」


「っ!」


その笑顔は反則だろ……

でも、頑張ったかいがあった。

だって、こんなにも可愛い笑顔を拝むことができたのだから。

……でも男なんだよなぁ……

ていうかそもそも男じゃないんじゃないか説あるぞ。

……ないですね。だって体育の時男子更衣室で一緒に着替えたもんね。

これで男じゃなかったらむしろ嫌だわ。

……しかし……それでも……

可愛いんだよなぁ……

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