第33話《クラブの話》
「そういやさ、ユウ」
あの後、俺は無事にシンと合流することができ、遅刻することなく浜野高校に着くことができた。
席に座り、先生が来るのを待っていると、シンが俺に話しかけてきた。
「どうした?シン」
「お前さ、クラブどうすんの?」
「あ……」
しまった……完全に忘れていた……。
どこのクラブの見学に行ってないし、どうするか……。
「今週中はどのクラブもまだ見学受け付けてるだろうし、色々まわってみたらどうだ?」
「そうだな。シンはもうクラブ決めたのか?」
「おう!もう決まってるぜ!」
どうやらシンはもうクラブに入っているらしい。
どのクラブに入ったのか参考にする為に聞きたい。
「そうなのか。どこに入ったんだ?」
「帰宅部」
「いや、それはどこにも入ってないっていうんだよ!」
「ははは!冗談冗談!」
「冗談かよ……。で?結局どこなんだ?」
「軽音部だよ。ほら、俺ギター弾けるじゃん?」
「なるほど。歌も上手いしな」
シンが軽音部に入ったのは納得だ。
なぜならシンは、カラオケでも高得点を叩き出すし、ギターも上手い。
文加も、シンにベースを教えてもらっていた。
まぁ、シンの本職はエレキギターだけど、ベースも弾けたりするし。
「まぁな。最近の文加ちゃんはどうだ?ベース続けてるのか?」
「ああ。よく弾いてるのをみかけるよ。何なら今週末に家来るか?また文加に教えてやってくれよ」
「おう!いいぜ!」
「二人ともおはよう!何の話してるの?」
シンとの話に一段落ついたとき、ちょうど秀樹が登校してきたようで、俺達に話しかけてきた。
うん。今日も可愛いな。
「おー!渡部おはよう!」
「おはよう秀樹。部活の話をしてたんだよ。俺、まだどこに入るとか決めてなくてさ」
「あ!僕もまだ決めてないや……」
「そうなのか?……よかったら、放課後一緒にまわるか?」
「いいねそれ!行き先は悠一くんに任せるよ!」
「お、おう」
話がまとまったので、秀樹は自分の席に荷物を置き廊下にあるロッカーに向かった。
秀樹が教室を出た後、シンが顔を寄せて小声で聞いてきた。
「お前ら、いつの間に名前で呼び合うようになったんだ?」
「えっ!?い、いや、それはその……成り行きで……」
「ふーん……そうか。まぁ、また週末に詳しく聞かせてもらうわ」
……やっぱり、学校で名前で呼ぶのはまずかったか……?
でも、断っても秀樹は絶対に折れないだろうしなぁ……。
はぁ……仕方ないか……。
まぁ、俺も別に嫌なわけじゃないしな。
そんなことを考えていると、釘宮先生が教室に入ってきて、ホームルームが始まった。
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