第25話《やっぱり双子》
昼頃になり、渡部との約束通り俺の行きつけのラーメン店に向かう。
喜んでくれるだろうか……
いや、大丈夫だよな。
だって渡部、男だし……ラーメン好きって言ってたし……
……え?渡部さんを連れて行ってるのに何言ってんだって?
確かにその通りだ。
……その通り過ぎて反論できない……
そうだよな。
渡部さんが喜んでくれたんだから大丈夫だ。
そう意を決し、歩みを進める。
「ねぇ、もうちょっとで着く?結構歩いてるよね?」
「ああ。もうすぐ見えるぞ。ゲーセンは反対側だったから歩く距離が長く感じるだけで、駅からだとそんなに遠くない」
「あー、なるほどね。じゃあ、もうすぐ?」
「ああ。というかもう目の前だぞ」
「え?あ、これかー。いかにもって感じだね」
「だろ。じゃあ入るか」
「うん!」
渡部に声をかけ、ラーメン店の中に入る。
するといつも通り親父さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃーい!!って悠一じゃねえか!!またその女の子連れてきたのか!!いつものだろ!!任せとけ!!でも今度は一人で来いよ!!話したいこともあるしな!!」
「お、おう……わ、分かった……じゃあ、よろしく……」
「あ、あの……僕、おと―」
俺は渡部が言うことを察し、慌てて渡部の口を塞いだ。
そして急いで席につく。
「や、柳くん……本当のこと言わなくていいの……?」
「いい。話したらめんどくさくなるのは目に見えてる。嫌かもしれないけど、黙ってて貰えるか?」
「う、うん……大丈夫だけど……。まぁそれより早くラーメンが食べたいし!」
「ああ。そうだな。俺も食べたいよ」
楽しみにしてくれているのは何よりだ。
そんな渡部を見てると俺も嬉しくなってくる。
渡部はすでに割り箸を持っており、今か今かと待ちかねているようだった。
その顔はラノベの話をする渡部さんに、よく似ていた。
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