第16話《初デート後の考察》

「おかえり~。結構遅かったね」


「ああ……動物公園に行ってきたんだ……」


「へー。珍しいね。お兄ちゃんと新屋さんがゲーセン行かずに動物公園に行くなんて」


「……あ、ああ……なんか、久しぶりに行きたくなってさ」


「あー。あるよね、そういうの」


「だ、だろ?じゃあ、俺部屋で勉強してくるわ。晩飯できたら呼んでくれ」


「はーい」


なんとか文加を誤魔化して、部屋に向かう。

流石にバレたら恥ずかしすぎる。

それに、絶対にからかわれる。


「はぁ……」


ベッドに倒れ込んで、ため息を漏らしてしまった。

今回のことを渡部にどう報告すればいいのだろう。

ありのままを言うべきか?

……いや、言えない。

言えるわけがない。

理由は恥ずかしいからだ。

それ以外の何物でもない。

あんなことを話せるわけがないだろ!

……さて、どうするか……

うまい嘘のつき方は、時折事実を混ぜることだ。

少し事実を混ぜながら、大事なことは伏せて話すようにしよう。

……考え事をしたら眠くなってきたな……

今日はただでさえ、色々なところを回って疲れているし……

晩飯まで、多少時間がある……

……うん、寝よう。

もう、眠くて眠くて仕方がない。

晩飯の、時間になったら……文加が起こしに来てくれるだろう……

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