第10話《初デートの始まり》

時間の流れというものは速いもので、あっという間に日曜日になってしまった。

デートのことは誰にも話していない。

というか自分でもよく分かっていないので、話せなかったの方が正しいだろう。


「はぁ……」


ため息をつき、部屋を出て階段を降りる。


「あれ?おはよー、お兄ちゃん。今日日曜日なのにちょっと早いね?何かあるの?」


「文加おはよう。いや、ちょっと出かけようと思ってな」


「あー、ゲーセン?お昼いらない?」


「ああ。じゃ、朝飯食ったら出るわ。いただきます」


「はーい」


今日の朝飯は食パンに目玉焼きとサラダか。

食パンには今日は苺ジャムを付けて食べる。


「うん、美味いな」


「ありがとー。洗い物早く洗いたいから早く食べてね」


「りょーかい」


言われた通り、朝飯を早く食べることを意識する。

時間的にも急いだほうがいいかもしれない。

集合時間の十分、いや、十五分前には到着した方がいいだろう。


「……よし、ごちそうさま。じゃあ、準備して行くわ」


「はーい。いってらっしゃーい」


数分で準備を済まして、家を出る。

東千葉から千葉までなんてたかがしれている。

歩いても問題ない距離だ。

まぁ、せっかく定期券を買ったので千葉までも電車でいくとしよう。

東千葉駅に着き、改札を通ってホームで電車を待つ。

総武本線は東京ほどではないが、なかなか本数が多い。

千葉行きの電車はすぐに来たので、それに乗り込む。

電車に乗ってしまえば、千葉まではすぐだ。

二分ほどで着く。


「まもなく〜終点、千葉、千葉です。」


千葉についたので電車を降りて、待ち合わせ場所である中央改札に向かう。

今の時刻は九時四十五分。

予定通り十五分前に着いたが、まだ来ていないだろうな。

中央改札を出て辺りを見渡す。

……ん?


「渡部……さん……?」


「あ……お、おはようございます、柳くん」


まさか、もう来ているとは。

早くないか?まだ十五分前だぞ?


「ご、ごめん。待たせちゃったか?」


「い、いえいえ!私も五分前に来たところですから……」


渡部さんは二十分前に来ていたのか……

俺もそうするべきだったな……


「じ、じゃあ、どこか行きたいところとかはある?」


「あ、ほ、本屋さんに行きたいんですけど……いいですか?」


「お、おう……もちろん。他には、何かない?お昼に食べたいものとか……」


「ほ、他は任せます……お昼も何でも大丈夫です」


「わ、分かった……じゃあ、取り敢えず本屋行くか。午後のことは後で決めよう」


「は、はい!」

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