第22話《豚骨ラーメンとパスタ》

今までの人生で最大の山場を越え、俺は家に帰ってきた。

……はぁ〜〜!!頑張った!!俺、超頑張った!!

連絡先も交換できたし、頑張ってよかった……。


「お兄ちゃんおかえりー……なにかいいことあった?すごく嬉しそうな顔してるけど……」


「え!?そ、そうか?」


「うん。お兄ちゃんのそんな嬉しそうな顔久しぶりに見たよ」


俺、そんなに顔に出てるのか……

でも今日は本当に嬉しかったし、仕方がないか。


「あ、そういえば今日お父さん帰れないってメール来てたよ」


「マジか……うーん……文加。たまには二人で外に食べに行くか?」


「いいね!どこ行く?お父さんからお金貰ってるし、どこでも行けるよ」


「そうだな……いつもの豚骨ラーメンでどうだ?」


「却下!!」


「は!?なんでだよ!?」


信じられない!!

なぜ豚骨ラーメンが却下なんだ!?

我ながら最高の提案だったのに!!


「だって、お兄ちゃんと食べに行ったらだいたいそうなんだもん……。今日は違うとこ行きたいよ……」


「じゃあ、文加はどこ行きたいんだ?」


「うーん……そうだなあ……ちょっと贅沢してパスタ食べに行く?千葉駅のペリエにあったよね?」


「分かった。そこでいいぞ」


「オッケー。じゃあ、いい時間になったら行こうか」


はぁ……豚骨ラーメンを食べたかったが、仕方ない。

今日は文加の食べたいところに行こう。

出かけるまでの暇つぶしのため、ポケットからスマホを引っ張り出す。

ん?メールが来てる……誰からだ?

え……?わ、渡部!?


『こんにちは!突然なんだけど、今度の日曜日に一緒に遊びに行かない?おすすめのラーメン店も教えてほしいし!どうかな?』


……今日、ラーメン店に行かなくてよかった。

これが、この文面を読み終えたときの俺の最初の感想だ。


『もちろん行くよ!!』


そう返事を入力し、俺は心から思った。

文加、感謝する。

……なんか最近文加に感謝してばっかりな気がする……

もっと家事手伝ってやるかな。

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