第十五話「暗い夜のこと」
この手の案件は、時が過ぎるのが毎回早いものである。
レンディの事があったというのに、三日が経つだけでアミネスとウィバーナへ今日も今日とて毎日を満喫していた。
保護者的にすぐ後を追いながらそれを見守るカイザン。その遥か後方、王城の窓からカイザンを監視するルギリアス。殺意すらあるかも。
何かの話に盛り上がって仲良く笑い合う二人。
面白そうだから入りたいけど、カイザンごときの帝王では不可能だ。
しかし、カイザンは側からの目を考えて、仲のいい友達グループで急に自分だけ知らない話をされた時のように、とりあえず合わせて笑っている状態。
そうしながらも驚かされるのが、あの騒動以降の二人の仲良しレベル上昇率。親友とは、大を超えるとどうなってしまうものなのだろうか。そう、何度か思った。
一つだけ確かなのは、二人の仲は永久のものであるということ。......それは、どちらかが一方的な拒絶をしたとしても。
・・・そんな事はないだろうな。
一方で、二人からはずっと置いてきぼりなカイザンは、今日も独り、眠れずにそんな事を考えていた。
仕方のないことだとご理解願いたいものだ。別に、お気に入りの枕とか、ふかふかのベッドじゃないと寝られないとかのお子ちゃまな理由ではない。
全ては例の一件、光衛団を最大限に警戒してのこと。レンディの騒動以降、情報は確実に貯まってきて、敵幹部の特定にまで至った。
[死屍累々の執行人]なんて恐ろしい二つ名異名はともかく、死神種とか超危ない匂いしかしない。
彼らの目的が獣領を潰すことだとの見解は立てられた訳だが、カイザンが狙われないという保証はむしろ増したんじゃないかという状況にある。
今夜は特に夜が深そうで、部屋で独り。
正直なところ、震えが止まらな過ぎて寝られない。
一度最悪な事を考えてしまうと、人はどうしてもそうとしか思えなくなったしまう生き物だ。
その負の考察に至ってしまったカイザンが、このまま平然と眠れるはずはなく、その浅い知能で精一杯考えてみた結果。
「あっ、逆に外に出れば作戦が通用するかも」
と、何故かこういう作戦を思い付いてしまった。
数分後には、きっと自分の浅はかさに気付くのだろう。
さて、数分後。
「.....寒いな。なんで、こんな作戦を名案みたいに思ったんだろう。迷案の方だったのか」
・・・さあ、帰ろうか。
と、早くも本論を飛ばして結論に至ろうと...いや、至っていた。
早くもと言っても、宿から出て既に何分か経過した頃だ。
歩いた距離からして、五、六分。急げばすぐに宿に戻れるだろう。当たり前だが。
カイザンあるあるとして定着しておきたい「よく考えてみれば」を実行してみる。
宿で寝ていると思われている隙に宿から離れるという、相手方の思考を読んだ作戦だった訳だが、我ながら欠点だらけなことに愕然とした。
・・・普通に考えて、アミネス置いてきたのはダメだよな。パートナーとしてしっかりアウトしてる。帝王ならセーフなのだろうが。
浅寝起きの考えはよく分からないものだ。
先程の結論通り、帰ろう。
獣領での生活は今日で二週間を超える。最近はもう、実家のように何処を歩けば何処に着くのかが分かってきた。
ウィバーナから抜け道や早道も教わっているので、散歩目的でなければ早々に帰れる。
・・・そういや、ウィバーナ。今日は王城に招集があったとかで早く帰ったな。俺が呼ばれていない時点で緊急でないってのは分かったけど、心的に不安だよ。
そんな事を思いつつも、急に早く寝たい気分に襲われ、足取りを早めていく。最後、広場の噴水を抜けて再び路地を抜ければ、そこに宿がある。
あくびを一つだけ漏らして、ふと夜空の月に目を奪われた。
それと同時のこと。
「よお、あんたが最強種族か?」
不意にかけられたデジャヴ感のあるその言葉に、カイザンは引き止められた。強制力でもあるように、声の主は彼を簡単に引きつける。
それを何処で聞いたのか、思い出したのはすぐだ。
その言葉は、レンディがカイザンに向けて最初に言い放った言葉。後の口調変化が、印象を大きくさせた。
そして、鼓膜の受け取ったまま、カイザンが見つめる方向。噴水の前に悠然と、夜空を見つめるように男が居た。
強靭な刄を持つ漆黒の大鎌を肩に載せ、それと対照的に純白の外套を身に纏う一人の男が立っている。
獣領に突如として現れた異質な存在。今、カイザンの在る現状と目の前の情報。
理解した時、この予想外の状況に対して危機感もなく苦笑してしまった。
その男はカイザンを待っていたのだろう。思えば、自分でもさすがに違和感に気付く。寝起き状態の安易な中で、薄い洗脳によって導かれていたことに。
・・・って事は、そういう事だよな。
「まったく、早々すぎるお出ましかよ。.....光衛団とやらの幹部さんよ」
向き直り、その男を引き気味に見つめる。
その姿は正に死神。やはり、光衛団の幹部、ラーダ・デスイアルという存在だ。
無言で返されたというのが、正解である事を雄弁に語った。
笑うでもなく、ただ口元を緩めてカイザンを一瞥している。
レンディと対峙した時のように、不思議と恐怖心が広がっていくのを感じた。
この心的な現象は、前に聞いたことがある。
・・・リュファイスが可能性的に言ってた、[感情イモゥション・増大インクリース]。負の感情を大きくするって、こんなのまで入ってんのか。
先日の洗脳魔法同様に、感情増大は心操系統の魔法。大抵の魔法に適性のない死神種が唯一得意としているものと聞いた。正しい効果はまだ分かっていないとの事も。
負の感情がどこまでのもので、正を消してしまうものなのか。使う種族自体少ない、ほぼオリジナルな魔法だ。解明は困難を極めたらしい。故に、その実態の大半は今も分からぬまま。
詳しくが分からない以上、このまま恐怖に呑まれるのは危ないと判断して、精一杯、平常心と余裕さを装う。上部だけでも、内側を変えることは可能なはず。
それに多少、定評のあるカイザン。
「レンディの時は朝っぱらでウザかったけど、こんな真夜中の闇討ちってのも関心しねぇな」
明らかに待っていた。カイザンの行動でも読んでいたのか? アミネスじゃあるまいし。との考えで、アミネスの前で意味もなく見栄を張る真似をしてみた。自分の。
「.....闇討ちか。それは貴様らが言えたものでもないだろう」
「はっ?」
思わぬ返答に素っ頓狂に声を漏らしてしまった。
普通、アミネスならカイザンの戯言はどうでも良さそうに返すのに。こいつはまともに答えてくれた。という訳ではないけど、何だか嬉しい。
・・・........はっ。危ない危ない、アミネスと比較しちゃダメだよな。
これもまさか感情増大の力なのか?と思いつつも、もう一つの、本来の疑問に向けて首を傾ける。
闇討ちをカイザンが言えたものではない。それを複数系に。それではまるで、カイザン側の誰かがそれを実行するかのような。
カイザンの首の動きを視界に入れたその男ーーーーラーダ。彼が視界的に映すのはそれでも、意識的に見ているのは、迫り来る殺意に対して。軽い跳躍で後ろに跳ぶだけでそれに答える。
直後、空高くから落下してきた何かが、二人の間に獣爪を振り下ろした。
カイザンが見えたのは、凄まじい衝撃で砂煙が捲き上る前に、誰かが現れたということだけ。
カイザンの、ただの種族の視力では、それ以外のことは理解できない。
獣爪が振り下ろされた。そこから理解できたことこそが、ラーダを狙ったものであることのみ。
つまり、視界に晴れた中に見えるその見覚えのある体躯は、早すぎる安心さの登場である。
・・・普通、もっと引っ張らない?こういう状況。...いや、良かったよ。助け来てくれて。でも、もっとハラハラな場面とかないと盛り上がらないだろ。考えてくれよな、ルギリアス。
緊張味に抜けたカイザンの心の中を他所に、突如として現れ、見事に奇襲を回避された上に雰囲気をぶち壊しにしたルギリアスと言う男。
記憶に薄いと思う、[五神最将]の現リーダー。実力にして、三番手の強者狼だ。
ヒビ割れた地面に刺さる獣爪を元に戻して抜くと、ゆっくりと踵を返しながら立ち上がった。
一連の行動の中、ルギリアスはラーダから視線をずらすことはない。殺意を常に威圧としてかけるのが目的だろう。
しかし、相手は感情を操る魔法を有する。果たして、それが通用するだろうか?それに、ラーダがルギリアスの奇襲を避けたのは、
「やはり、気付いていたのか」
獣種の[強調五感]なしに、ラーダは迫り来るルギリアスに気付いていた。ルギリアスの着地寸前の勢いからすれば、闇討ちに関しての話は相当遠くの場所からということになる。
高位種族とは、ここまで不条理な存在だというのか。
カイザン的には、自分の恥を隠す目的が多いと思われるルギリアスの問いに、ラーダは声音を変えぬまま坦々と話す。
「下等ごときが背後を取ろうなどというのが浅はかにして愚かなのだ。殺意は疎か、気配すらまともに消せていない。高位を侮るなよ」
外套に付着した諸々を払い、ルギリアスにそう答える。
アミネス並みに辛辣な意見ではあるが、
・・・個人的には消せていたと思うよ。俺個人としては。
実際、着地地点から考えて、ルギリアスが跳んで来たのは、ラーダの後方から。気配どころか、視界にすら映らなかった。
殺意に関して言えば、対エイメル戦でチクチクを味わったのは今でも詳細に覚えている。
約一週間ぶりは関係なしに、隠していないのならカイザンにだって見えていたはず。ラーダのは、辛辣で傲慢な意見としか思えない。
そう思い、勇敢にも口にする者が居る。
「貴様も言えたものではないだろう。獣種の索敵能力をあまく見るな。次は無いが、もう少し異種の臭いを消すべきだな」
「ふっ......やはり、貴様らは下等だな」
話の流れとはズレたように突然、下等と貶すラーダに、ルギリアスが再度言葉で噛み付こうとする。が、それを制止させるように、周囲に威圧が働いた。
抵抗するように全身に力を注ぐルギリアス。この状態で言葉を続けるのは容易ではない。
周囲に働いた威圧、その範囲にはもちろんカイザンも入っている、
「なっ........重い」
・・・んだよこれ。立っていられるに、体が重くて動かない。まさか、これもか。
殺意の重圧。感情増幅の応用と考えるのが自然だろう。
体が重いのではなく、体が動こうとしない。意識は平常に在りながら、心だけが押し潰されそうな程に。
動けない二人を視界に、ラーダは。
「....さて、最強種族よ。貴様は、名をカイザー...」
「カイザンだ」
久しぶりのカイザーイジリに対しても反射的に訂正を入れたカイザン。ルギリアスよりも前に出る程に。
言ってから気付いたのは、先程までの重さが無くなっていること。
考えられる可能性は二つ。一つは、持続不可能な魔法。もう一つは、話をするため。ルギリアスの動きを一時的に止めることで、主導権を握ろうとしたのだろう。
・・・たぶん、後者の方だろうな。
この真夜中に、ラーダがカイザンに奇襲をしなかった事から考えても、それが妥当だ。
カイザンに話の始まりを邪魔された形のラーダは、小さく咳払いした後、
「.....名をカイザンと言ったか。貴様に一つ、交渉の余地を与えてやろう」
主導権の片鱗をカイザンに渡した。
・・・やっぱしか。
意外性はあるが、ある程度予想ができていたので、こういう反応がごく自然。だから、進行を邪魔せずに感想を話す。
「交渉の余地? 敵幹部とは思えない発言が飛び出しやがったな」
その発言を受け、ラーダはやや面倒そうな顔をしてため息を吐く。先日の件からは考えられない程に人間味のある行動だった。
「敵......か。やはり先日の件で、我々が悪の組織と勘違いしてしまったらしいな」
「は?」
突然何を言い出すんだこいつは。とルギリアスに共感を求めて視線を送る。目を合わせてはくれなかった。
カイザンの反応に答えるように、ラーダはその先を続ける。
「俺がレンディを洗脳したのは、貴様ら守衛団の機能を内側から崩し、降伏を求めるための行為だ。あれであの異端者が予想外を起こしてくれたおかげで失敗した訳だが、俺は戦闘を好まない性でな。交渉で片を付けてもいいと思っている。故に、降伏しろ。リーダーからの命令はこの領を潰せとの事。それは他の事でもいいはずだ。それはつまり、種王ガイストの首と領主リュファイスの服従。それらさえ差し出せば、領民には一切手を出さないと約束しよう」
「.....おい、待て。俺とアミネスが入ってないぞ」
「付け加える。貴様も命まで侵さない。......創造種の娘は分からぬがな」
いつもらしく訂正的にツッコミを入れるカイザン。そこを訂正しても全く意味がないことはカイザンが一番分かっている。その条件を呑む気がない時点で。
その選択をカイザンたちが選ぼうとするのは、ラーダも判断済み。
ただの交渉の、ただの要求では意味がない。
「もし、貴様らが何の奇跡かで俺に勝ったとする。それで終わるはずがないのは分かっているだろう。組織からすれば、俺も仲間も、ただの駒に過ぎない。また次がやって来る。言いたい事は分かるよな?」
・・・おっと、もう少しで恐怖を覚えそうな物言いだな。危ない、危ない。
これは交渉なんかじゃない。自分たちの有利さを武器にしたただの脅迫。従わない者たちを殺す権力者と同じだ。
洗脳魔法がある以上、恐怖に呑まれる訳にはいかない。交渉を有利に進められる訳にはいかない。
そう思うのに、足は下がろうとする。あの時のウィバーナと同じだ。
「カイザン、聞きたいことがある」
それを言ったのは、ほぼ並立状態にあるルギリアス。
問うことがあるのはもちろん、カイザンを精神的に助ける意図もあったのだろうと信じたい。
巨人領消滅事件からルギリアスには疑われっぱなしだけど、カイザン的には仲良くしたい思っているこの頃。有名無実ですごく気が合うから。
「なんだ、ルギ」
「........待て。何だその呼び方は。訂正しろ」
・・・相変わらずで、いつまでも高圧的な態度に少しでも紳士に付き合おうと考えた俺考案の愛称を簡単に切り捨てるなんて、帝王かよ。
今日からそう呼ぶからな。との意志を込めた瞳で数秒間見つめて、ルギリアスの反抗を諦めさせる。
この状況でどうでもいい話を続ける理由が特にないだけ。
ルギリアスがもともとカイザンの名を呼んだのは、とある選択について。
「リュファイス領主は何故か貴様のことを信頼している。貴様の意見ともなれば、あの方は従うかもしれない」
ルギリアスが何を言いたいのか、遠回しに何を伝えたいのか。察しの悪いカイザンでも理解できた。
付き合いが大して長い訳でもないのだから仕方ない。
こういう場面で、カイザンがどういう選択を選ぶかなんて、ずっと前から決まっている。
「大丈夫だよ、心配するな。恐怖を勝る程に暇潰しに飢えたこの俺が、素直に怪しい交渉に乗ったりする訳ないだろ」
・・・それに、アミネスの身がどっちにしろ危ないんだったら、俺が守れる方を選択するのは当たり前だ。'もう'失わないために。
「それなら、これからどうするかの判断も分かっているな」
カイザンの返しを待たずに、ルギリアスは前に出る。
「俺の足は引っ張るなよ。自衛は勝手にしろ」
「ああ、任せとけ。それに、俺も見てるだけじゃ終わらないからな。できるなら、そいつの動きを止めたりしてくれ」
小さく頷くルギリアス。それを見届けて、カイザンは後ろに下がる。
その両者の行動を静かに見届けたラーダが、失意の念によるため息を吐く。
「失望したぞ。愚かにも戦闘を選ぶとはな」
「生憎だが、愚かであるかの決定権を譲ったつもりはない」
「あの異端娘もそうだが、貴様らはつくづく自種を過大評価するものだな。数千年も前に神と崇められし存在が決めた界層は絶対。下等な種族は高位種族には到底及ばない」
「悪いが、そんな言葉では我々の心は動かんぞ。....もう少しで他の団員も駆け付ける頃だろう。それまでは抗わさせてもらうぞ」
ラーダとの無駄話を早々に切り上げ、拳を前に、独自の戦闘態勢へと入る。
対して、不動のままのラーダ。
ルギリアスの発言には苛立ちを感じるばかり。
「下等な獣には服従する以外、生きる権利などないと言うのに、それ以上を求めるとはな。実に愚かで、醜い」
このままだと永遠と愚痴を語られそうなので、戦闘開始までまだ発言権の残っているカイザンが手を挙げた。
「俺からも生憎言わせてほしい。ルギはともかく、ウィル種はきっとお前と同じ高位種族のはずだ。そんで、求めてるのは今の状況的な暇潰しだけな」
得意のどうでもいい発言でラーダに返させない状況を作る。
要は、いつでも戦闘が始められる空間に居るということ。
ラーダとの距離はパッと見で十メートル。忘れないでほしいのが、カイザンに空間把握能力や距離感がさほど備わってない事。
何にせよ、ルギリアスなら、獣種なら余裕な距離。
たくましい後ろ姿越しにラーダと、その凶悪な刃物が見える。殺意の威圧を今尚纏っているよう。
身構えることなく、ただ立っているだけでこの威圧。
彼の言う通り、高位種族は下等種族よりも遥かに勝る存在。だからこそ、彼に対して先制する。そのためにも、素早く一歩目を踏み込むルギリアス。
そこまでの瞬間的な動きだけはウィバーナにも引けを取らないと思う。そこからの加速は明らかに劣るが、獣種としての才は持ち合わせている。
風に乗るように次を踏み出す過程で拳を後ろに引く。獣化されれば、すぐさま放てる状態に入った時、獣の本能はそれに気付いた。
鼻が微かに揺れて、[強調五感]が無意識に発動される。周囲のあらゆる臭いが索敵材料の全てとなり、意識の集中はラーダにあるはずのない臭いへと注がれた。
その結果、目を剥いて、怒りを露わにするよう強く吠えたのだ。
「っ............お前は、誰だ?」
踵の着地を中断させ、爪先を地面に刺して地を抉るような形で急ブレーキをかける。
完全に静止するのを待たず、焦りを込めて問う。
返されたのは、不敵な笑みが一つ。
そして、纏わられた魔力が発動者の意志に従って徐々に剥がれ落ち、隠されたその姿を現わす。
その頃、南地区に建てられた刻限塔の天辺で。
今宵もまた、
「さあ、異端の執行。獣の狩りでも始めるとしようか」
ここでもまた、大鎌が月明かりの中で光り輝いていたのである。
ミルヴァーニ&ハイゼル パターン1
「長らくお待たせして誠に申し訳ありませんでした。作者に代わり、私、ミルヴァーニが謝らさせていただきます。......えっ、私を覚えていない? そんなまさか、話によれば、用語説明とやらで私は出ていたのでしょう。えっ、本当に覚えていない?....どうしましょう。私は所詮、転移要員。カイザン様が獣領を出るまで登場がないというのに、ここまでの話で印象に残っていなかったとは」
「仕方ありませんよ。作者側の意向と言うのもありますし」
「ハイゼルはこのままで良いと言うのですか?私はカイザン様が獣領を出ただ時には、意地でも長く居座ろうとすら考えているのですよ」
「私は転移要員でもありませんから、出番があるかすら不詳なので、ミルヴァーニ様のお気持ちは全然全くこれっぽちも分からないのです」
「そういえば、そうでしたね。...では、いっそのこと二人で獣領に遊びに行きましょうか?」
「それは楽しそうですけど、ストーリー補正がとても難しくなりそうですね」
「ハイゼルは先程から難しい言葉をよく使われますね。一体、どこの言葉なのですか?」
「それについてはよく分からないのですが、カイザン様が前に使っていたのを、状況下から内容をある程度推測して話しただけですよ。使い方は合っているはずです」
「........女神領の総意を申し上げますと、何故、その才能や実力が有りながら、本番やここぞという時に放心してしまうのか分かりかねます。エイメル様の話によれば、遠征先で困った果てに、相手種族に意味もなく生殺与奪の権限すら与えたそうじゃないですか。一体、どんな状況下でそんな事があるんですか?」
「........ん? それは、誰のお話ですか?」
「あなたのですが。......そう言えば、放心中は記憶に残らずでしたね」
「私の話はともかく、ミルヴァーニ様ならきっと、皆さんの記憶に残っているはずですよ」
「あなたに言われると、何故だか嫌な気持ちなりますね」
「では。次回、最暇の第十六話「死神の罠」........早く再登場したいのもそうですが、一番の目的はやはり、どうしてもすぐにでも早くアミネスに会いたいです」
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