概要
わたしには、世界を変える力なんてなかった
テレポーターと非テレポーターの抗争は、2020年、最強のテレポーター〈ゼウス〉の活躍で終幕を迎えた。そして〈ゼウス〉は終戦の証として木星の衛星エウロパを地球の衛星とし、姿を消した。
――それから16年。直接的な対立こそ減ったものの、エウロパはテレポーターの象徴として恐れられるようになっていた。都内の高校に通うテレポーター脇坂真弓は、自らの力を隠すことで平穏な生活を、自らの力に酔いしれることで平穏な心境を手に入れていた。しかし、真弓がそうして築き上げた平穏の牙城を、様々な事件が少しずつ削っていく。平穏を望み、牙城を守ろうとする真弓。けれども、世界は少しずつ、されども容赦なく傾き始める。そして自分が第二の〈ゼウス〉になれないと悟ったとき、真弓は初めて挫折の味を知る。
世界を変える程の力はな
――それから16年。直接的な対立こそ減ったものの、エウロパはテレポーターの象徴として恐れられるようになっていた。都内の高校に通うテレポーター脇坂真弓は、自らの力を隠すことで平穏な生活を、自らの力に酔いしれることで平穏な心境を手に入れていた。しかし、真弓がそうして築き上げた平穏の牙城を、様々な事件が少しずつ削っていく。平穏を望み、牙城を守ろうとする真弓。けれども、世界は少しずつ、されども容赦なく傾き始める。そして自分が第二の〈ゼウス〉になれないと悟ったとき、真弓は初めて挫折の味を知る。
世界を変える程の力はな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!確かな科学知識にスパイスの効いたフィクション
私自身バックグラウンドは自然科学系なこともあり、この Earth II Europa はとても好きな小説です。
さらりと「遺伝子編集」に CRISPR とルビを振っていたり、「優性/劣性」ではなく「顕性/潜性」という用語を使っていたりと、いったい何者……と思ったら大学院生さん。本職でした。
遺伝学のみならず、AI アシスタント、VR、いま私たちを取り巻く技術のその先を見ているような気にさせる、未来のイメージがとても巧みです。社会派SFというだけあって、技術と世の中の関係描写も。
堅いサイエンスの中に一筋差し込まれるテレポーターというフィクション要素がスパイスのように効いていて、上手いなあ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!Q、SF作品ってどういうものですか? A、多分こういう作品です。
ドローン社会の発展、
AIの発達による日常生活の利便性の大幅な向上、
そして外部インプラントにより人間の能力までも進化させ、
そして、遺伝子の有無によりテレポート能力を持つ人間と普通の人間に分岐し、能力を持つ者と持たない者が対立する。
それぞれを単独で扱った作品はよく見ますが、
これを全て織り込んだ作品はなかなかなく、
一つ一つの事象に対しても細かい考察がなされているところに、
作者様の持ちうる知識を総動員して、
読者である私たちに、自身が想像する未来を見せようという熱意が感じられました。
私自身SF作品がどういうものかあまり理解していませんが、
きっとこういう作品をSF作品と言う…続きを読む