第24話 お風呂
私は小学校低学年まで、父親と母親どちらかと、姉も一緒に風呂に入っていました。
洗うのを手伝ってもらっていたのを覚えています。
姉と今も共通の思い出として残っていることは、父親と母親の洗いかたが正反対だったということです。
特に、髪の洗いかたは特徴的で、父親は目などにシャンプーが入らないように、仰向けの美容院のように私達と向き合い、丁寧なので、時間もかかりました。
対して、母親は下を向かして、はい、目をつぶってーバシャバシャ、みたいに、時間は短く作業は荒目でした。
姉は大人になって話していると、あの時、お父さんの洗いかたがとても良かったと言い、お母さんはちょっと荒かったから、お父さんが良かった、と言います。
容子は?
と聞かれて、
え、どっちもどっちと思ってた、と答えました。
そう、正直、母親の荒さをさほど荒く感じなかったし、父親はちょっと時間長いな、と思っていて、でも、どちらも良いと思っていました。といいますか、どちらでも対応可能ていう感じでしょうか。
ただ、なぜか姉より私のほうが、父親と風呂に入るのはもうやめとこうかなと感じる年齢は早く、私ははっきりと自分で父親に今日でもう止めとく、と言ったのを鮮明に覚えています。父親はそれを聞き、理由は聞かず、そうか、わかった、と答え、そこから、ずっと父親と風呂には入っていません。
その後もひとりより、姉か母と入ることがほとんどでした。時間短縮のため、そうされるのです。
母は意外と風呂では無口で、姉は風呂に入ると、たまに相談やぐちを私にぶつけてきていたのを、覚えています。きっと姉は忘れているでしょう。
私はたまにひとりで入れる日がちょっとした楽しみでした。ゆっくりできるわーと思っていました。
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