第5話 欠落

薄っぺらい恋愛だな、と付き合っていた男に言われた。

ころころと男を代えて、と周囲は敵だらけで非難も随分受けました。


確かに、一番身近な理解者の母を亡くした私は異常な状態であったのかもしれません。


ただ今思っても、異常な状態の中でも私は相手の心の傷みに寄り添う努力は続けました。相手の無理な要求に、身も心も柔軟に必死に折り合いをつけようともしていました。それは、真実です。

ただ、そのやり方に限界が来ていたのでしょう。


期間にしたら一年くらい、私は相手に情熱を注ぐことができました。でも、これは本当の恋愛ではないとわかってくると、情熱も引いていくものです。


随分とひどい言動を受けたこともあります。ただ、自分の都合を押し付けてきているひとが多かったです。


私には今情熱を注ぐ相手はいないです。どんなことがあっても、このひとの手を離すことはないだろう、そう思うひとがいないのです。いたことすらないのです。


もしかして、私はなにかが欠落しているのかもしれません。


私はいつも、自分の足でしか立てないのです。

寄りかかり方を知りません。

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