第23話 恩
この家庭で育ち、家族の中で実は一番縁が深いのは、父親なのではないかと思っています。父親について書かなかったのは、様々なエピソードの断片が浮かび過ぎるからなのです。そして、いざ書こうとすると、どこを切り取って書けば良いのか、とても迷うのです。
ただ、今私の命が続いているのは、父親の存在無しではありえないことだったかもしれません。
もしも、違うタイプの人が父親で、病気に理解が無く、責められ続けていたなら、私は今生きていないでしょう。
もしくは、病気がもっとひどい状態になったかもしれません。
父親に甘やかされたことは無いけれど、命をなにひとつおびやかされたこともありません。
父親は、最期には身ひとつになれる人間です。
今までの人生で得た地位や人徳などをいつでも置ける人だと思います。
そして、正直で公平な人間です。
身体も心もバランス感覚に優れた人でもあり、動くときは身軽に見えます。
ただ、私は少し父親の影響を自然と受けすぎている面があると、医療者の方に言われたことは何度かあります。
なぜか、ほんとうに困ったときに側にいたのは、私は母親ではなく、父親でした。
私は父親には、親子のわくを越え、人として恩があると思っています。
私にとって父とはそういう存在です。
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