第10話 入院の学び

去年から今年にかけて入院したのは、自殺願望が高まり、家に居ても、精神科デイケアに居ても、落ち着かず、自分の居場所がないと感じ、追い詰められた心境に達したからです。


当時の主治医、相談員、父親に強く反対を受けました。

私の意志は固く、もう何もかも限界だから休ませて下さい、と言い通し、入院に至りました。


私が入った病棟は、開放病棟でした。

担当医の許可が降りているものは、朝9時から夕方5時まで、外出許可を得て外出ができる。

私は、最初の診察で全ての外出、外泊許可が降りました。


他にも色々な病棟があり、閉鎖病棟と言われる病棟が多い感じでした。

私の居た真下の階は、閉鎖病棟でした。閉鎖病棟は基本的にずっと入り口に鍵がかかっていて、患者は自由に外出できません。見たことはないですが、閉鎖病棟の中には、保護室という部屋もあると看護士から聞きました。


私の寝ていた部屋の真下が保護室だったようです。

保護室は、一時的に錯乱状態になった患者が入る部屋のようです。

だから、しょっちゅう錯乱して叫ぶ声、壁をたたく音が聞こえました。


私は入院したての頃、それを一番苦痛と感じていました。

どこからそのエネルギーが湧いてくるのか、どうしてその表現なのか。


私は聞いてると、なぜか悲しくなりました。

だから、音楽を聴いて気をそらしていました。


今回は大人になってからの入院だから、帰る場所、受け入れてくれる身内もいない、そんな人が多数いる現実を、どうしようもない気持ちで見つめていました。


でも、人はよく食べるものだということにかなりの驚きを感じました。

私は、誰よりも少食で、どんなに頑張っても、誰よりも食べるのが遅かったのです。


そして、いつの間にか、食べ方と歩き方を見れば、退院できる人かどうかを見抜けるようになっていました。


その二つの動作がしっかり常に安定し、勢いのある人は退院が早いのです。



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