第27話 もしもし相談室
私には姉がいて、姉とは今はもう別々に暮らしている。
昔、姉がまだ実家にいた頃、私たちは一人部屋をもらっていた。だから、離れた部屋で生活していた。
でも、姉はよく雑誌などを持って、私の居る部屋に居座っていた。
私は忘れていることも多いけど、姉のプライベートをよく姉自身から打ち明けられていたように思う。
今となれば不思議に思うけれど、姉は実家にいた頃は私を頼っていたように思う。
プライドが人一倍高い姉にとって、私は当時、もしもし相談員だったのかもしれない。
私はこう思うんだけど、容子はどう思う?
そんな言い方の多い人だった。
狭い家の中ではプライバシーも何もなかったのかもしれない。
姉はオープンな人だった。
受験した大学の合格発表を見に行くのをついてきてほしい、と言われたことは鮮明に覚えている。
自信がないという。
私は落ちていた時、どんな態度をとれば良いか姉と一緒に電車で大学へ向かいながら、思いをはせたが、わからなかった。
ただ、一緒に受け止めるしかないと感じていた。
姉は、掲示板を見て
やっぱりないわ
と言った。
私は
そうなん
と言う言葉を発した。
そして、来た道をまた一緒に帰り電車に乗った。
無言は全く苦にならなかった。
しばらくたって姉は
思ったよりつらくない
と言った。
私はまた
そうなん
と答えた。
うん、と姉は言った。
全く違う大学へ進学した姉だけれど、その思い出は今も私の胸に残っている。
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