第25話 こどもの熱
小学生の頃、風邪をよくひきました。
風邪をひくと、熱が出たから、2階で静かに布団で寝ときなさいと昼も夕方も母親に言われました。
私は夕方になると熱は少し上がるし、いいかげん寂しくなって、母親の言い付けを守らず、自分で自分の布団を全て、引きずり一階の居間のすみに、布団を敷いて、母親の料理する音や気配を感じに来ていました。
そして、熱が上がれば、しんどいよーと言い、頭が痛くて、おかーさん頭痛いよーと半泣きで言うのでした。
私の熱はいくら高くても39度以上にはなりませんでした。
私の姉は、それに比べ、いきなり42度とかの熱を出すことがありました。
私とは反対に、何も言わずひたすら静かに眠り続けていたのです。
その静けさは、変に怖くて、私は姉が死んでしまったらどうしようと、不安になりました。
母親もいつも少し動揺していて、不安そうでした。
何も食べない姉に、和三盆の小さな砂糖菓子や、こんぺい糖などを買ってきて、これなら食べるかな、とつぶやいていました。
私はうらやましくても、それは、私もほしいよーなどとは、言えませんでした。
そして、姉はある時はっと目を覚まし、そんなにしんどくない、と言ってまた眠るのです。
実際、大人になって聞いてみると、姉は、あんまりしんどくなかった。と言うのです。
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