第12話 夜の闇

夜の暗闇の中、目が覚めると不安になるのは幼稚園に通い出した頃からだったかもしれません。

特に、幼稚園で嫌なことがあったわけではなかったです。

夜中にふと目が覚める日が出てきました。

横を見ると姉はぐっすり眠っていました。

余計に不安になりました。


隣の部屋で寝ている両親の元に、枕と肌布団を抱え忍び込みました。

父と母の布団はくっついてはなく、ほんの少し隙間があるのです。

私は必ずそこに滑り込みました。静かに。

母は大抵うっすら目を開けて、自分の掛布団を持ち上げ、入っていいよという格好をしました。

でも、私は一度も入っていません。

母が嫌とかではなく、そこまでくっつくのは照れくさい感じがしていました。

父はいつも熟睡していました。


そんな夜は私が小学校低学年になるまで、たまにありました。


中学に入り、私は一人部屋になりました。

そこから、私の不眠は始まっています。


私は夜の闇が恐いと感じていました。

静寂も心細かったです。

夜中に目が覚めると、電気をつけなければ不安で仕方なかったのです。そうして明るくした中で、うつらうつら眠っていました。


すごく深く眠り目覚めた時、私は今が朝か夜か、ここはどこか、自分は誰かをわかるのに、数秒かかる時があります。

そういう時、現実の時間から随分遠いどこかへ意識は行っていたのかな、と考えたりします。


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