第11話 見つかった
次の日 朝
「さて……、どれくらい力が抑えられているか見せて貰おう。『
池に手を向け魔術を発動する。すると前の様に森全体は凍らなく、池全面と近くにある木が凍った程度だった。どうやら、ちゃんと超弱体化が発動しているらしい。
「よしっ!大成功だ!!」
嬉しそうに喜ぶ幼い少年に元魔王の面影は全くない。
「この調子ならオーガ森全体に生息しているモンスターの研究もはかどり……」
『キュー!キュー!』
「……ん?」
足元に手と足が凍ってしまい、動けなくなったドラゴンの子供がいた。先程の魔法に巻き込まれてしまったようだ。
「もしやこいつ……、『
パチンと指を鳴らすと氷が一斉にとけ、ドラゴンの子供も動ける様になった。不意に少年は小ドラゴンを抱きかかえる
『クルルル!!』
小さく炎を吐くがそこまでの火力では無い
「待て待てそう怒るな。どれ…………、やはりあのドラゴンの子供か」
小ドラゴンの体の模様、特徴が昨日倒したドラゴンにそっくりだ。どうやら親子だったのだろう。複雑そうな表情をする少年。
「すまない事をしたな……。謝っても許されることではないが」
『……キュー?』
そっと頭を撫でてやると、小ドラゴンは気持ちよさそうに鳴く。
『キュー♡キュー♡」
「そうか、それは良かった。……お前、俺のところに来るか?お前を助ける責任が俺にはあるのだ」
『キュー♪』
嬉しそうに顔を舐めて来る小ドラゴン。どうやらOKみたいだ。あの母ドラゴンの分まで責任を持って育てようと心に決める少年
「……あ、そうだ!あの魔術を試してみるか」
『キュ?』
一度地面に小ドラゴンを置き、小ドラゴンの下に魔法陣を張る
「……えーと『
小ドラゴンの周りを黄色い光が包む。
『キュー?』
「……うむ、出来たな」
魔物達と自分の力を少し貸す代わりに従属にさせる魔術。あまりこの世界では使われない
「万が一の為に俺の力を貸しておこう。これでお前は強くなったぞ!」
頭をよしよしと撫でると……
『キュー♪』
嬉しそうに炎を吐く小ドラゴン。その火力は先程とは比ではなく、目の前の木が全て燃え尽きてしまった
「……少し、使いこなせる様に訓練しないとな」
『キュー?』
不思議そうに首を傾ける小ドラゴン。……可愛いな
グルグルグキュー
小ドラゴンの腹から腹減ったという合図が送られる
「そろそろ飯にするか……」
確か猛獣の肉が残っていたはず--そんな事を思っていた時だ
--ガキィッン!!
「……っ!!これは……!」
誰かが決壊を破ってオーガ森に侵入してきた様だ。頭の中に情報が映し出される。
侵入者二百人。国の兵士、騎士、王…………王!?
人間の集団はこちらに向かって来ている。馬に乗っている為迷ってはいるが、スピードはかなり早い。
「くそっ!何がバレた!!?」
急いで小ドラゴンを抱え『瞬間転送魔術』で家に行き、家ごと『収納魔術』で亜空間に入れる。これで家があった事は気づかれない……はずだ。しかし自分の存在がバレたのなると少々厄介だ。
『キュー……』
小ドラゴンが心配そうにこちらを見ている
無理やり笑顔を作り微笑む
「……大丈夫だ。絶対守るからな」
今まで人に触れてこなかった分、人がどの様な行動に出るのか全く読めない。しかも五年住んでいて初めての体験なので流石の魔王も顔が強張っていた。
--子供のふりをして誤魔化すか……?
色々と考えていると人間達の気配が一キロ以内になる。
--ここは戦いになるより隠れた方が良いだろう。子供の身体になってまだ日は浅いし、近くには小ドラゴンがいる。
「来い、小ドラゴン」
『キュー?』
近くにある大きな茂みに小ドラゴンを抱えて隠れる。この時だけは隠れやすい子供の身体で良かったと思った。
--集団の人間の気配がすぐ近くまで近づいて来る。元魔王の少年は初めて【怖い】という感情を理解した。
バレたらここでの生活が消えて無くなるかもしれない--そんな事を思うと手足がガタガタと震える。
「ライセス王よ、どうやらここで行き止まりの様です」
茂みの中から盗み見てみると、黒い上等な馬に乗った騎士が後ろの男に報告していた。
後ろにいる男の顔は茂みの葉が邪魔で見えない。
「馬鹿者、よく見てみろ。明らかにそこの土質とそこの土質が違う」
どうやらさっきまで家があった所の土のことを言っている様だ。土質なんて人間は気づかないと思っていたが油断したな。
「となるとここに何かがあったのでしょうか?いったい何が……?」
騎士と男が話しているとどんどん兵士達が
ここに集まりだして来た。逃げることが困難になって来る。
--魔術を使ったら光と魔法陣でバレてしまう。どうすれば……?
考えていると小ドラゴンが少しだけ動いてしまい、足下にあった木の枝を踏んでしまった。
パキッ!
--あ、やばい
しかしそう思っても遅かった
「おい!!そこに誰かいるのか!!!?」
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