第23話 溶け合うホログラム
目を
「シオミさん? 下ろしてよ」
足をつけた場所は、コンクリートの歩道。
「よかった」
女性が、
「
左腕を動かそうとして、レイトの顔が
「
体を
「いいんだ。ぼくが、自分で
「お
シオミの表情に
「その前に、みんなに
「お
「だから、
二人の表情が
大きな
「このメダル、どうするの?」
女性が
「さあ、どうするかな。どうとでもなるだろ」
カズヤが答えた。
「そうね」
同意するモモエ。のんびりと、川の流れを見ていた。
「とりあえず、顔見に行くか。元気かどうか」
「待ってよ」
言葉の途中で、男性は歩き始めていた。言いながら、女性が追いかける。
短髪の男性と長髪の女性。
南西からの光を浴びて、
いかつい門が開いた。
黒を基調とした家のドアが開くのを待たずに、ハッキングで開ける男性。女性は、困り顔で微笑んだ。
「
「元気?」
カズヤとモモエの問いに、少年が答える。
「もう
左腕に
「そうですね。
シオミの表情は
門の前で、新たに立ち入り
ハルナとユズルが、同級生に笑顔で手を振る。
レイトは、両手を高々と上に
洋風二階建ての建物。薄いグレーの壁。屋根は紺色。
周りはきれいに
ドアの近くの看板に書かれているため、普通の家と間違う人はすくない。南西からの日差しをあびている。
「まるで、
一階。北の部屋。北の席に着く男性が、しみじみと述べた。グレーのスーツ姿。
大きな窓は東にあり、さらに机は部屋の中心にあるため、強い光が入ってこない。木の床と壁を含めて、
「
北東の席で、
『そういう
かわいらしい声を返すアマミズ。白いリスのようなホログラムに、
「何か、考えろ。トネヒサ」
「話は変わりますが、自分を変えてみませんか?」
「なんの話だ」
「
「いつでも、
まばたきを忘れていた男性が、普段よりもにこやかに笑みを浮かべる。
「新しいパッチは、何がいいでしょうか。
表情をころころと変える女性。優しく見つめる男性から、笑みがこぼれた。しかし、
一階には、部屋を仕切るドアがない(トイレとお風呂を
ギョウタはたじろいでいた。三十代でスーツ姿。たれ目ぎみの目を見開く。
部屋の中から、二人がじっと見つめている。
「そんなに見られても、何も出ないぞ」
ゆっくりと歩く。ウタコの右隣りの席に着いた。
「何か持ってるだろ。面白い話の、一つや二つ」
「上に
「
困り顔のギョウタ。トネヒサを見て、アマミズを見た。ふたたび、ウタコを見る。
「
「では、さっそく取り掛かりましょう」
「よーし。
楽しそうな顔の二人が、キーボードを叩き始めた。あきれ顔の男性がぼやく。
「そこは
『データの
言葉を
「
つぶやきに、どこからも
チャイムが
二人が、すぐに手を止める。
「プログラム
部屋に残されたギョウタが、机のタワー型PCを起動。ディスプレイを
男性から、笑い声が
トネヒサのデータは、
「
フウマが、
ゴーストパルス。
木造で、和風の民家のような
店であることを示すものは、立てかけられた看板のみ。客が少ないのは言うまでもない。スーツ姿の男性がゆっくりと通り過ぎた。
ケンジが初めて
カウンター席には二人の姿。黒い骨組みの椅子に座る青年が、つぶやく。
「どうなんだろう」
「何が?」
右隣に座る女性がたずねた。赤いカーディガンを
「バックアップにデータをリンクしても、あんまり変わってない気がするんだよなあ」
現実という、プログラムで
青年は、
「別にいいんじゃない。みんな、そんな感じだと思うよ」
あどけなさの残る顔で微笑むチホ。
下がっていたケンジの
椅子の上で体の向きを変える。四人席にある窓から、外をながめた。
同じように体の向きを変えたチホは、隣を見つめていた。
男性の黒い髪は、手で整えられているだけ。服もお
カウンターに置かれたカップは、すでに
白い服の店員は、二人の
チホも外をながめた。
外を、母親と五歳の
「よかったね。何も変わらない
優しい表情の男性が、口を開く。
「そうだね。別に、世界に意味なんてないんだ。最初から」
再び、ケンジがカウンターのほうに体を向けた。隣のチホも続く。
「作る側の
「そうかもしれない」
話しながら、白いメダルを取り出した。
クリエイターの世界の
「何が
「ああ。ここが、
ケンジは、胸のポケットにメダルをしまった。
ゴーストパルスの引き戸が、ガラガラと音を立てて開かれた。
「
「いらっしゃいませ」
白い服の女性が、
エミカはケンジを見つめた。左隣へと歩いていく。
ボブカットの髪は、つややかな
普通に歩いて、普通に手を使っている。椅子に座った。
「ああ、忘れてた」
ケンジが、何かを
「
すこし口をとがらせたチホ。表情は明るい。
「そう。あのときは急いでたから、
「
左隣に座ったエミカが、ゆるむ
「そのとおりだ」
素直に認めて、笑うケンジ。
おこなったのは
「ブラックで」
エミカが注文。ケンジが、コーヒーのおかわりを
少女のほうを見る男性。
「四人席に座る?」
「そんなこと、自分で決めたらいいじゃないか」
少女が微笑を返した。
わずかに
「で、エミカの見た目についての
「ん? それって、言わないといけない
まるで、プログラムの
「やっぱり、
声を上げて笑うエミカ。
世界のバグは
しかし、世界を
設定スパイラル 多田七究 @tada79
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