硬派な舞台設定にもかかわらず、するすると頭に入ってくる文章力が光ります。
蒸気と霧のロンドンを舞台に、武器商人と半獣人の少女が出会う――という導入ながら、決してファンタジーに逃げるのではなく、帝国主義、差別、格差、資本主義、教育といった現実的なテーマに真っ向から切り込んでいるのが魅力的でした。しかもそれを理屈っぽくではなく、キャラのやり取りの中で自然と伝えてくる。まさに“読ませる技術”が詰まっていると感じます。
武器商人カネトリの“変態紳士”としてのユーモアと、急進的平等主義者としての本音が絶妙に同居しており、読者の笑いと感情のツボを同時に突いてくるところも素晴らしかったです。
どこか『名探偵ホームズ』や『カウボーイビバップ』的な空気を感じさせる、スチームパンク×ケモナー×異文化交流バディものとして、個人的にはどストライクな設定でした。
19世紀末、私達の歴史とは似ているようで非なる世界のお話。英国が帝国として影響力を持っていた時代としての世界。
カネトリは武器商業組合、[銃後のお茶会]に所属する武器商人です。そんな彼はこのレビューのタイトルにある通り、ケモナー変態紳士。
そんな彼は一人の半獣人の少女に出会います。
当然ストライクゾーン。そんな半獣人の彼女は名前をもらいますが、彼女はただの半獣人ではありません。
一つ一つがネタバレになりそうで言えない程に、ここに近代史と近代芸術と文学ネタ。いや、近代史にあるものがズラリと文章やストーリーにふんだんに使われており、近代史に疎い自分でも「おっこれは!」と思うものも多いです。
それだけではなく、キャラクターも個性的でカネトリ。変態紳士なのにかっこいいんですよ。ストーリーはシリアスなので、カネトリのケモナー愛がいい具合で緩和してくれています。
文章や表現、ストーリーもまさにスチームパンクに相応しいと言える物となっておりますゆえに……。
近代史やスチームパンクなど好きな人におすすめできる作品。
一読いかがでしょうか?
パート1まで読了しました。
【電撃大賞:最終候補作品】の看板に偽りなしの良作でした!
レビュータイトルの要素は全部出てきます。
異世界じゃないから、と。タイトルから内容が想像できないから、と。
敬遠してる読書好きの方、小説を最近書き始めた方に言わせてもらいます。
もったいない!と。
こちらは膨大な外国の知識と、確かな文章力を土台にした作品です。
少し見ただけでも、知識の深さと、地文の卓越した文章に感嘆するはずです。
小説を書く上で、とても参考になるはずです。
だからといって堅苦しいだけではありません。
ちょっとした変態な要素が混ぜ合せてあったり、空想の人物が作中に登場したり、と。
遊び心もあります。
もし、このレビューが目に入った方は一度、作品に目を通してみてはいかがでしょうか?
貴方にとっての新たな良作に出会えるかもしれません。
こんな小説が今までにあっただろうか……。
コアであまりにもニッチ過ぎるケモナー向け……言うなれば、「ハードケモノSF」である上に、古典作品から新しいSF小説まで、細かいネタが各所に散りばめられている。
世界大戦を舞台にした作品は多いが、これはその少し前の時代、19世紀末に活躍した武器商人たちを題材にしており、日清戦争の直後、日本でも英国と同盟を結んで日露戦争に突入していく……という、まさに世紀末の時代を、蒸気(スチームパンク)と毛皮(ケモノ&亜人)で包んだ稀有な作品。
作者も言っているが、この作品がランキングに載ったり、人気が出ることはないだろう。
だからこそ、一言。
いいぞ、もっとやれ!
11/3 追記:第二部の題名は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ディキシーランド」(某映画のパロディ)!
世紀末の南部連合国という、「あり得なかった世界」を舞台に武器商人たちがどう活躍したのか……と楽しみにしていたら、ここでも英国文学だけでなく、アメリカ文学まで幅広くカバーしている著者の知識量には舌を巻くほど。
ついに連載再開! 嬉しいです。頑張ってください!
世界中の歴史を戦闘を人の紡いだ文化を
どれだけ頭に詰め込めば
これほどの「帝国」が創造できるのだろうか。
しかも、もふもふしっぽにおみみ、ふにふに肉球
美しいつばさ、竜獣《ドラギノ》、さまざまな
愛おしさうしくしさもつ登場者達に微笑みつつ読み進むと
人種隔離政策・奴隷・デモ・何次期にも及ぶ戦争
苦しさ辛さも重厚に在るから
この世界の人々がさらに、イキイキと現実味をおびる。
血統の区別は、もふもふ愛くるしい登場人物たちにもくだされ
彼らのけなげで、凛とした姿に、元気をも与えられる。
ゆれる灯りがともす室内
握られる銃身の鉄の色
まるでその匂いが嗅げるような表現力に取り込まれる世界に
ワン・オブ・ワン・サウザンド(千挺に一挺)と、
讃えたいです。