概要
カネトリは武器商業組合、〈銃後のお茶会(フロック・ティーパーティー)〉に所属する武器商人。数々の戦場を渡り歩いてきた敏腕ながら、彼にはとある弱点がある。
カネトリは真正の「ファーリー・ジェントルマン(ケモナー)」だったのだ……。
ある日、出会ってしまった二人と一羽。運命はまるで「解析機関」の歯車のように、やがて一行を巨大な陰謀に巻き混んでいく。
作:上地王植琉
バーナード・ショー、ギブスン&スターリング……その他、敬愛する作家たちに捧げる。それと、歴史ファンで文学ファンでスチーム・パンクファンでミリオタでケモ
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- ★★★ Excellent!!!ケモナー向け歴史改変スチームパンク&パスティーシュ添え
こんな小説が今までにあっただろうか……。
コアであまりにもニッチ過ぎるケモナー向け……言うなれば、「ハードケモノSF」である上に、古典作品から新しいSF小説まで、細かいネタが各所に散りばめられている。
世界大戦を舞台にした作品は多いが、これはその少し前の時代、19世紀末に活躍した武器商人たちを題材にしており、日清戦争の直後、日本でも英国と同盟を結んで日露戦争に突入していく……という、まさに世紀末の時代を、蒸気(スチームパンク)と毛皮(ケモノ&亜人)で包んだ稀有な作品。
作者も言っているが、この作品がランキングに載ったり、人気が出ることはないだろう。
だからこそ、一言。
いいぞ、もっとやれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!煙いっ! そしてケモい‼ 蒸気と獣香が薫るスチームパンクはいかが?
読者諸兄姉は『スモークスタック(SMOKE STACK)』と呼ばれるウヰスキーを御存じだろうか。
煙を上げる機関車の正面をドーンと描いた派手なラベルに、栓を開けただけで広がる甘口のピート香……。
本作はまさしく『スモークスタック』の如き作品である。
本作の舞台は蒸気機関と電気技術がせめぎ合う大英帝国。
武器商人であるカネトリの視点で物語が展開する。
本作の魅力は何と言ってもその世界観だ。
階差エンジンや空飛ぶ戦艦、機動要塞に名探偵。
濃い語り口で綴られるヴィクトリア朝ロマンは、好きものには堪らないだろう。
作中の歴史は現実世界のものをほぼなぞっており、当時の世界情勢…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この新世界、まさにワン・オブ・ワン・サウザンド。
世界中の歴史を戦闘を人の紡いだ文化を
どれだけ頭に詰め込めば
これほどの「帝国」が創造できるのだろうか。
しかも、もふもふしっぽにおみみ、ふにふに肉球
美しいつばさ、竜獣《ドラギノ》、さまざまな
愛おしさうしくしさもつ登場者達に微笑みつつ読み進むと
人種隔離政策・奴隷・デモ・何次期にも及ぶ戦争
苦しさ辛さも重厚に在るから
この世界の人々がさらに、イキイキと現実味をおびる。
血統の区別は、もふもふ愛くるしい登場人物たちにもくだされ
彼らのけなげで、凛とした姿に、元気をも与えられる。
ゆれる灯りがともす室内
握られる銃身の鉄の色
まるでその匂いが嗅げるような表現力に取り込まれる世界に
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新しい発想と物語、真似していきたい
まず、世界観が現実の地球に新たにファンタジー要素が加えられた形となっている。
しかし、異世界からやってきたという感じではなく元からそこにいたという物だ。
この考え方は他の小説では見られるものではない。やってくるのではなく元からいたという新しい概念。
では、ストーリーはどうか。
基本的には会話のみで成り立っているがこれがすごい。小説を書いたことがある人ならわかるがキャラクターに会話を続けさせていくのはとても難題である。
意味のない会話を織り交ぜてしまい、読み手に気怠さを与える結果になってしまうことが多いがこの小説は何か意味があり、着実にストーリーが進んでいると感じる。
自分の小説を右に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!電撃最終候補は伊達じゃない! キャラ&描写&舞台の全てが秀逸!
素晴らしい創造は、素晴らしい想像力から生まれます。そして、作者の想像力は段違い!
作り上げられた、我々と似ているようで異なる世界。歴史に造詣の深い作者が作り上げた世界は人々が活きる生臭さが漂い、それにふさわしい術数権謀が渦巻いています。そして、子供の頃に図書館で見た古典のロマンをすべて注ぎ込んだような、ワクワクが止まらない架空技術。これだけでも素晴らしいですが、本作の魅力はまだこれから。
ふとした事件から術数権謀の渦中に巻き込まれた主人公:カネトリとヒロイン:リジルを始めとしたキャラクターたちは、どいつもこいつも癖が強く、そして憎めない。
様々な登場人物たちが背負う相いれない各々の歴史…続きを読む