第21話 かれらは神を信じない

かみの世界を知っている。かみ記憶きおくだ!』

 初めて強い感情を表した、ムゲン。灰色の空から、ゴロゴロとかみなりの音がした。微笑むトネヒサが、追い打ちをかける。

「それは、ルートキットを使用しようしていたにすぎません」

 ルートキットとは、コンピュータシステムへのアクセスを確保かくほしたあとで、侵入者しんにゅうしゃによって使用しようされるソフトウェアツールのセット。

 作動中さどうちゅうのプロセスやファイルやシステムデータを隠蔽いんぺいするツール。存在そんざいを知られることなく、侵入者しんにゅうしゃがシステムへアクセス可能かのう

「つまり、ただの第三者だいさんしゃ

 ウタコがっててた。

「お前たちにクラッキングはが重いだろ。援護えんごしろ」

 たくましい体つきの青年がげた。手をつないでいる女性がウインクする。

 黒いシャツの少年が、ハッキングのかまえを見せる。寝ているシオミの隣へ視線しせんを移した。データを確認かくにん。すこしまゆを下げる。

『そこの端末たんまつ不良品ふりょうひんか。機能きのう欠落けつらくしている』

「アマミズは、トネヒサへのリンクがない。あやつれないし、難病なんびょうにもできない」

 説明したのは、すこし貧相ひんそうな体つきの青年。つづきを長身の男性にゆずる。

「こうなることを予想して、最初から、クリエイターに関する機能きのうを入れていなかったのです」

「それで、ずっと役立たずだった。と」

 納得なっとくした様子ようすのウタコが、かげに隠れていないアマミズを見つめた。かわいらしい声が返ってくる。

現在げんざい、クリエイターの世界への通信つうしんは、感知かんちできないよ』

「できないはず。いま通信つうしんを開けば、ぼくたちにハッキングをゆるおそれがある」

「クリエイターの世界にクラッキングを仕掛しかけるのも、悪くないぜ」

 二人の青年が、レイトを見る。にやりと笑った。

「本気でやりそうで、怖いわ」

 ピンク色の服の女性が、おおげさに首を振った。

「いや、やるだろ」

間違まちがいなく、やるでしょうね」

 対照的たいしょうてきな身長の二人が断言だんげんした。チホは、何も言わなかった。

『ワームごときが調子ちょうしに乗るな』

 少年の体で話すムゲン。一瞬でカードが完成。れることなく、左腕の黒い装置そうちに入れられた。

「みんな! けて」

 チホが叫んだ。データの流れをしっかりと把握はあくしている。ケンジの表情がゆるむ。

「リスク判定はんてい

『エンチャント・3』

 遠くで座るアマミズがしゃべった。

 表示方法ひょうじほうほうが切り替わる、データとしての現実。危険きけんなデータを重視じゅうし通常つうじょう映像えいぞうに色をつけて、素早すばや対処たいしょ可能かのうになる。ハッカー四人がかまえた。

攻撃こうげき集中しゅうちゅうしたかったぜ」

 カズヤが、左腕の装置そうちからカードを取り出した。消滅しょうめつさせる。新たにカードを組み上げて、アウト・オブ・オーダーに挿入そうにゅう。エンチャントが実行じっこうされた。

 モモエに力が共有され、二人は手をはなす。

 地上から600メートルの高さ。四角しかく広場ひろば。真ん中の金属のタワー付近ふきんで、拡張現実かくちょうげんじつうごめく。

 黒い装置そうちが動き、六つのかたまりが現れた。マウスほどの大きさ。エンチャントの効果こうかで、橙色だいだいいろに見える水。レイトの周りをただよっている。

ほどれ』

 ムゲンの声のあとで、水が動き出した。それぞれ対象者たいしょうしゃ設定せっていされている。

「こんな、水一つで」

「動きを止められてしまいました。打開策だかいさくしいところです」

 複雑ふくざつなプログラムが組まれている、データの水。うかつに手を出せば反撃はんげきされる。不規則ふきそくな動きで、書き換えの時間をあたえない。

 かといって、何もせずにいても、水は攻撃こうげきしてくる。

 六人は、体の前にかべを作ってふせつづける。防御ぼうぎょ余儀よぎなくされた。

 びる水。データのかべで防いだモモエ。ハッキングにより、水の外側をけずる。

「ダメ。わないわ」

 赤い色が現れた水は、元の橙色だいだいいろへと修復しゅうふくされた。

 長身の男性が動く。小柄こがらな女性に微笑んだ。水の表面にハッキングを仕掛ける。反撃はんげきとして、水がばされた。半分近くがけずられた表面。左脚ひだりあしみずやいばせまっても、トネヒサは攻撃こうげきをやめない。

 データのかべあらわれた。ふせがれた水は、表面ひょうめんが全てくずる。赤色に変わった。

まもるよりめたほうが、効率的こうりつてきでしたよ」

 残念そうな顔の男性。赤い水にハッキングを続ける。かべを出したのは、ウタコ。自分へと向かう水の相手もしていた。

 機械的きかいてきなムゲンの声。

関塚せきづかトネヒサは、やまいから奇跡的きせきてきに助かった過去がある。自分の命を軽く見る傾向けいこうがある』

「ハニーポット気取きどりか! 命に重いも軽いもないぞ!」

縫野ぬいのウタコは、作法さほうきびしく育てられた過去がある。反発はんぱつして乱暴らんぼう傾向けいこうがある』

「うるさいな、こいつ!」

 ウタコとトネヒサ。モモエとカズヤ。チホとケンジ。三組が、おたがいを守るように動き始める。

「メダル三つ分はきついな。ちょっとお願い」

 ケンジが目をつむった。

 東に続く、データの道筋みちすじの先を確かめる。自分の家のように知っている場所。

 一瞬の黒が終わる。

 色のある世界。

 草原の真ん中に、華奢きゃしゃな少女が立っている。

 青い空。わずかに浮かぶ、白い雲。虫の姿は、黄色い花の上の白いちょうしか見えない。

 少女が振り返った。病院支給びょういんしきゅうの地味な服。あまりまとまっていないボブカットの髪が、風になびく。

「感心しないね。乙女おとめの夢に、無断むだんで入り込むなんて」

「うん。そうだね。ごめん。綺麗きれいだね。色のある夢って」

 景色けしきながめるケンジ。草のゆれる速度は非常におそい。雲もほとんど止まっている。景色けしきが、スローモーションで動いていた。エミカは不満ふまんげな顔を向ける。

「そんなことを言うために、来たのかい? 情報じょうほう圧縮あっしゅくまでして」

 男性が、優しい表情であゆみを進める。

「クリエイターの端末たんまつとやり合ってるんだけど、力を貸してくれないかな?」

「この私が力を貸すと、本気で思っているのかい? いまも負荷ふかがかかっているよ」

 きびしい言葉をはなつ少女。穏やかな表情で、男性を見つめた。

本気ほんきで頼むよ。あとでわせはするから」

「言いたくないけど、もう、一人では、そでからメダルを出せないんだよね」

 エミカが右手をにぎる。普通に動いた。これは、夢だ。

 ケンジは表情を変えない。

「思いがけない収穫しゅうかくがあって、ダミー部分ぶぶんが分かったんだ。人間のデータの」

 手をのばせば届きそうな距離で話す二人。少女が口を開く。

作業さぎょうが早くなるのはいいけど――」

当然とうぜん遺伝情報以外いでんじょうほういがいのデータがあること――」

「そのリンク場所ばしょも、分かっているんだろうね?」

 おたがいの言葉を待ちきれない様子ようすの、エミカとケンジ。

間違まちがいない。情報じょうほうを出すよ。ぼく応急処置おうきゅうしょちをするから、応援おうえんお願い」

 表示ひょうじされるデータの羅列られつ。男性の姿が消えた。少女が苦笑にがわらいする。

 世界を覆う黒。

 目を覚ました少女が、体を起こす。病院びょういんのベッドからおりた。

「まだ答えを言っていないのに、せっかちだね」

 右手を動かして、左手のそでに入れる。緑のメダルを取り出した。流れるような動き。難病なんびょう影響えいきょう皆無かいむ。いや、最小限さいしょうげんおさえられている。

 顔は苦痛くつうにゆがんではいない。明るい笑顔。

「データフロー。アウト・オブ・オーダー!」

 左手で、緑のデータフローメダルをにぎる。

 装置そうちが左腕に現れた。腕時計よりも大きい、緑を含んだ灰色。不思議ふしぎ重量感じゅうりょうかんはない。

 現実へのハッキングにより、データの流れがはっきりと見える。拡張現実かくちょうげんじつが広がっていく。アルファベットと数字と記号のプログラムは、限られた者にのみ書き換え可能かのう

 体の前で、エクセキューションカードを生成せいせいした。高度こうど変更へんこう可能かのうとするそれを、勢いよく右手でつかむ。

 左腕のアウト・オブ・オーダーに挿入そうにゅう

「エクセキューション!」


 ムサシノタワー上部じょうぶの金属をさわれる場所。地上から600メートルの高さ。

 四角形しかっけいで、鉄筋てっきんコンクリートづくり。関係者用かんけいしゃよう広場ひろば。すでに、午前10時を回っている。今にもしそうな空。

「メダル三つ分はきついな。ちょっとお願い」

 ケンジが目をつむった。それを見て、あわてた様子のチホ。話しかけようとして、目が開いた。

援軍えんぐんを呼んだ。すぐに来るはず」

ぐん? 政府せいふの人たち?」

 あどけない顔の女性は、首をかしげた。セミロングの髪がれる。すぐに意識を向けた先は、空中。マウス大の敵性てきせいプログラム。橙色だいだいいろに見える水に、ハッキングを仕掛ける。

 データのかべで水を防いだケンジが笑う。

「ちょっと違った。でも、まあ、一騎当千いっきとうせんだから」

 六人それぞれを、データの水が監視中かんしちゅう

 アウト・オブ・オーダーを左腕にそなえるのは、ケンジとカズヤ。エンチャントカードを使用しようすることで、危険きけんなデータを色分け表示ひょうじしている。

 防御ぼうぎょが苦手なトネヒサをサポートしつつ、自身じしん対処たいしょもするウタコ。

 狙ってくる水を確実かくじつ対処たいしょする、カズヤとモモエ。

 建物のかげで寝ているシオミと、近くに座るアマミズ。こちらはおそわれていない。

 突然とつぜん、空中に人影ひとかげが現れた。

 腕を組んだエミカが、すべてを見下ろしている。病院支給びょういんしきゅうのそっけない服。

変身へんしん!」

 それは一瞬いっしゅんだった。凛々りりしく可愛かわいらしい服が、華奢きゃしゃな少女のつつむ。ボブカットの髪もきれいにととのった。

 フリル付きのシャツ。羽織はおっている黒い上着には、深碧しんぺき模様もよう。黒いスカートには、白や萌葱色もえぎいろの部分がある。ひざから下を隠すのは、黒いソックス。

 音を鳴らす、緑を基調きちょうとした靴。四角しかく広場ひろばの北へと着地ちゃくち。そのとき、空が青くなった。さきほどまで広がっていた雲がうそのように。少女が、レイトの左腕にある装置そうちを見る。

「なるほど。これで難病なんびょうのデータが解析かいせきできたわけだね。それはもう用済ようずみだよ」

悠長ゆうちょうなやつだな。エミカ」

法則ほうそくの書き換えですか。無茶むちゃなデータのいじりかたですね」

 ウタコとトネヒサは、同じような表情をしていた。少女を見つめるケンジ。データの流れを把握はあくして、明るい表情になる。

「そういうことか。データをまとうことによって、処理速度しょりそくどを上げているんだ」

 エミカは、病院びょういんのPCをサーバにしている。データの偽装ぎそう演算えんざん肩代かたがわりさせることで、自身じしん能力のうりょくを上げていた。

『リンク元をえただと?』

 少年がはっするムゲンの声に、ケンジが答える。

片方かたほうのデータの書き換えを、もう片方かたほうのデータが阻止そし治療ちりょうできない病気びょうきを作る」

「分かってしまえば簡単かんたんなことだね。きっちりなおしてから来たよ」

 両腕を動かすエミカ。舌を出して、引っ込めた。

「ムゲン、てめえ。小細工こざいくしやがって」

 水をハッキングするカズヤ。モモエが防御ぼうぎょ担当たんとうし、橙色だいだいいろ表面ひょうめん破壊はかいした。

攻撃こうげき対処たいしょしてあげるから、さっさとたおしたらどうだい」

 言い終わらないうちに、プログラムを組んだエミカ。六匹のネコがちゅうう。データの水とたわむれて、動きをふうじた。

鉄林てつばやしエミカは、わかくして難病なんびょうわずらった過去がある。自分をふくめて客観的きゃっかんてき判断はんだんする傾向けいこうがある』

好奇心こうきしんで、正体不明しょうたいふめいのプログラムを組んだのは、迂闊うかつだったよ。まあ、すぐ消したけどね」

「メダルを与えて、自分が操作そうさできる端末たんまつを作らせる。人を、思いどおりに動かすために」

 少女の言葉を補足ほそくした青年。水の攻撃こうげきがゆるまり、六人に余裕よゆうが生まれている。少女が目を閉じた。

 スタイルのいい女性が、レイトのほうを向く。

「いい加減かげんだまらせたいわ。あんな姿、見たくないし」

たおすって言っても、レイトくんが……」

 チホの表情はくらい。

『そうだ。お前たちに、この体をデリートすることはできない』

 シオミが目を覚ました。同じく目を開く、可愛かわいらしい服装ふくそうの少女。左腕には緑がかった装置そうち。ゆっくりと建物のかげへ近づいていく。女性が立ち上がったことで、見下ろされることになる。

 少女は、圧縮あっしゅくした情報じょうほうを夢で伝えていた。難病なんびょう真実しんじつを。

「レイトのゲノムデータを渡せば、この私が助けてやらなくもないよ」

 決意を込めた眼差しの、ヘアバンドをつけた女性。青空のもと、ショートヘアをらしてうなずいた。

「アマミズ。一番安全いちばんあんぜんそうな、エミカさんの近くにいてください」

了解りょうかいしたよ』

 見目麗みめうるわしい少女の足元に、ぬいぐるみのようなものが座った。少女の表情がゆるむ。

 空中の水を襲うネコ。ケンジたち六人は、ハッキングに集中する。どんどん色が変わっていく水。皮がめくれるように、次々と削除さくじょされていく。データの水は消滅しょうめつした。

『こちらがわに来い。カズヤ』

「断る」

 少年の提案ていあんを、短髪の青年が却下きゃっかした。かまえをかない。雄々おおしい体を、茶系の上着と黒いパンツがおおう。

『なぜだ。獅倉ししくらカズヤは、オリジナルを超えるため、力に固執こしつしているのではないのか』

 黒いシャツにグレーのパンツ姿。レイトの体から響く、ムゲンの声。

 こげ茶色の上着をなびかせ、ケンジがげる。

「それは過去のデータだ」

『カズヤは、ケンジのデータのリンク元。バックアップだ。これから本当の人間にしてやる』

 笑い出す青年。あまり体つきはよくない。

「カズヤは、すでにぼくとは違う、一人の人間だ。お前が何もしなくてもね」

境川さかいがわケンジは、人のきたな部分ぶぶんを見すぎた過去がある。他人たにんをデータのようにあつかうはずだ』

「それも、過去のデータだな」

 体つきのいい青年が、はきてるように言った。

現実感げんじつかんのなさをかかえたまま生きるのか? それは、お前たちのデータが正常せいじょうにリンクしていないからだ』

「そういうことか」

 笑いだすカズヤ。少年は、さげすむような顔になる。

『生かしてやったおんを感じることもできないのか』

「そんなものはない。お前が全ての元凶げんきょうだ」

 断言だんげんしたケンジ。チホたちも続く。

「ケンジが乗ってた飛行機ひこうきも?」

「あのきびしいしつけも、お前か!」

「私は、特に運がいいわけではなかった、ということですね」

 シオミとエミカが近付いてくる。笑顔で迎えたモモエが、振り向く。金属製のタワー上部を背にする少年をにらんだ。敵意てきいをむき出しにする。

「ツクモのかたき

「待っていてください。レイト」

「怖いね。こっそり援護えんごでもするよ」

 可憐かれんな少女は、攻撃こうげきを七人に任せた。くつろぎ始める。

 れられないアマミズにちょっかいを出して、フリルきのシャツをらしているだけではない。プログラムが発動はつどうする前にデリートし、少年の行動を大きく阻害そがい。データをかいざんすることも忘れない。

 少年の前にかべが発生。ムゲンは攻守こうしゅにそつがない。攻撃こうげきをおこないながらも、ふせぐ。

 ハッカーとクラッカーが攻撃こうげきして、少年のすきく。

 トネヒサとウタコは、データの偽装ぎそう専念せんねん。モモエとシオミはサポート。カズヤがひかたまを放つ。衝撃しょうげきプログラムの直撃ちょくげき。しかし、レイトの表情は変わらない。

 青年は、状況じょうきょう把握はあくした。かまえをく。

「ケンジ。オレをカード化しろ」

 おどろいた青年は、意味いみ理解りかいした。しかし、感情かんじょう否定ひていする。

「そんなこと、できるわけないだろ」

「もう十分、人間として生きた。満足まんぞくしたよ。オレのデータを使えば、あいつをどうにかできるはずだぜ」

 カズヤは、清々すがすがしい顔。おだやかに歩き出す。力を使うことをやめて、モモエとシオミに共有きょうゆうされていた力も止まった。離れて見守るシオミ。

 モモエの前で立ち止まる青年。

 力強く、赤いメダルを差し出す。

 受け取った女性は、悲しそうな表情をかくせない。左手で、赤いデータフローメダルをにぎる。口角こうかくを上げた。

 アウト・オブ・オーダーが左腕にあらわれた。

 データの流れが鮮明せんめいになる。豊満ほうまんな体の前で、エンチャントカードが完成。左腕の装置そうちに入れられ、実行じっこう。シオミに力が共有された。

 一行いっこうがおこなっている少年へのハッキングは、こうそうさない。

 ざりあう、ムゲンとレイトのデータ。バックアップも含めて書き換えられている。通常の攻撃こうげき効果こうかうすい。

 目にほのお宿やどした、ケンジ。

「分かった。カード化する。でも、あとで元に戻す」

 おどろいたような顔になるカズヤ。ケンジが続ける。

「バックアップを作って、リンクして。二人分は大変そうだな」

「オレが手伝えば、余裕よゆうだろ」

 カズヤが右手を差し出す。

 ケンジも右手を出して、握手あくしゅする二人。

 長身の男性が叫ぶ。

「いまこそ、バージョン1・5の機能きのうを使うときです。アマミズ!」

補助演算ほじょえんざん

 エミカの足元で、白いリスのようなものがしゃべった。黒いスカートをらし、微笑む少女。

 離れた場所で起動きどうするサーバ。事務所じむしょのPC五つの演算能力えんざんのうりょくが、ケンジに貸し与えられた。処理しょりにかかる時間が短縮たんしゅくされる。

 まばゆい光が青年を包む。もう一人の青年により、データとして分解ぶんかいされていく。

 ケンジの胸の前で、再び一つになる。

 カズヤが、白いエクセキューションカードへと姿を変えた。

 装置そうちに入っているカードをケンジが消し、共有きょうゆうしていた力が使えなくなった三人。チホとトネヒサとウタコは、ケンジの近くへ移動した。


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