第7話 目に映るのは情報
隣町への
「あまり時間がないので、
トネヒサに焦りの色はない。
「
「どこに書いてあるの?」
ケンジの読み上げたデータを、チホは持っていない。
「調べれば分かることを、なぜ隠すのか」
「その代わり、クラッキングのデータは
PCのディスプレイには、
おそるおそる
「あんまり、大変そうに見えないね」
『いまは、
チホに反応したアマミズ。南西の机の上で、意見をのべた。
「ウタコさんなら、役に立たないと言うでしょうね。では、二人に任せます」
船に乗っているのは、58名。
「わたしは、まだ自信がない、です」
左手が動く。青いデータフローメダルを握るケンジ。
「急ぐかどうかは、アマミズもどきのデータを見てからにしよう」
『アウト・オブ・オーダー』
左腕に現れた
『エクセキューションカード、
ケンジが、空中にプログラムを組み上げる。カード化した。右手で
『
「
絵の
「体が動かなくなっちゃったよ。どうしよう。ケンジ」
「見た目を変えただけだから、手はあるし動くよ。ウィンドウを出してみて」
チホが描かれた紙のまわりで、ウィンドウが次々と現れては消えた。顔の部分が笑顔にかわる。
トネヒサを示す紙は、背が高い。微笑した顔が描いてある。
「高さの
「まず、船の
ウィンドウを開き、
見かけ上、東側が何もない空間になる。いや、遠くに何かが見える。
「船? でも、よく見えないね」
「
ウィンドウの
「どうやら、58名で間違いないようですね」
船員と乗客の絵がある。動いていて、顔の前に丸い
「アマミズじゃなくて、
『アマミズは、アマミズだよ』
紙に書かれたリスのようなものが
「
「つまり、
「だといいけど。
ウィンドウの
真ん中で止まっている船員の顔から、
「やった。これで、すぐ
「いえ。
「どういうことですか?」
チホの
「動いているものをリアルタイムで書き換えるのは、リスクが高い」
「さっき消したのは?」
「
「もっとも動きが少ない物を狙うことは、クラッカーも
「
嬉しそうなチホの声。
「まずは、手分けして
「はい」
「この
「わたしが調べたものは、
「同じく。まあ、持っているデータは、全員同じですけどね」
「
ウィンドウを開くケンジ。船の手前に、船より一回り大きな板が現れた。
「ちょっと。ぶつかっちゃうよ?」
「いえ。あれは……
「あれは、
「通る場所が決まってるから、向こうから来てくれる、ってことね」
チホの明るい声。
「そういうこと。ほかの船とすれ違う可能性を
話しているあいだにも、船は進んでいく。
「やった。消えてるよね?」
『
アマミズの絵には表情がない。
「ウタコさんなら、もう少し
「ちょっと、時間かかっちゃったな。わたし」
「PCの
東の隣町。
船着き場を見下ろす、建物の上。潮の香りがかすかに漂う。
コンクリート製の屋上から、ハチジョウ丸の様子が
「
色っぽい服を着た、長い髪の女性が息をはいた。
「こうでないと、面白くないってもんだぜ。だろ? ムゲン」
たくましい体つきの男性が、笑い声をもらす。茶系の上着に黒いパンツ姿。短髪。
『この
少年のような声が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます