第6話 探偵と政府のつながり
ケンジの住まいの北。徒歩で移動できる
コンビニエンスストア。
天井にならぶ照明は、外へ光を多く出すように
「おや。意外と食べますね」
「すくなすぎだろ。お前。もっと食べろ」
私服の二人が、昼食を選んでいた。
たくさん抱えているように見えるのは、
「美味しい料理が食べられると思ったので。
サラダと魚の切り身しか持っていないのは、長身の男性。
「
「
「おい。
笑みを
「なるほど。
「さらりと
「
『種類によるね』
肩にのるアマミズが
「仕事の話を、いまするな!」
周りの客が二人を見て、すぐに目をそらした。
「
眉間以外にもシワの多い、
「よく
「……」
かるく頭を下げるウタコ。普段より低い位置で結ばれた髪は、おさげになっていてあまり
「やろうと思えば、できるということじゃないか。ワシは
「いえ。ですから、悪に対抗するためには
聞く耳を持たずに店から去っていく、
「
『
「おっと。新しいプログラムについての案を
「ほかに考えることはないのか。この男は」
いつもどおりの口調。トゲを隠すという
キャッシュレジスターのあるカウンターへと歩みを進める。
ガラス製の自動ドアが開いて、店の外へ出る。
「おい、お前!」
『アウト・オブ・オーダー』
男性の肩にのる白いものが、力の
「メモを忘れました。
「歩き
にぎっていた青いメダルを持ち、
「二人なら大丈夫です。信じていますから」
「
左手に布の
「何も起こりませんね」
「
「いえ。何かが、ぶつかってくるかと思ったのですが」
「ぶつかる?
「両手が
『エクセキューションカードでの
「いいから、早く
見えるデータに変化はない。
薄いグレーの壁で、洋風二階建て。東にある入り口の鍵が、ひとりでに開いた。
中へ入る二人。
「クラッカーのしっぽが
「
部屋に入るトネヒサ。ダイニングルームのテーブルに
「食べながらの
トネヒサの左腕にとびついた。
悲しそうな顔の男性。
「……ないですね」
「な? あるだろ」
「ありえないですよ。仕事の
「仕事は忘れろ。食べることに集中。
眉を八の字にして、
「それにしても」
「なんだ?」
「外食を
「恥ずかしいだろ。子供用のメニューを
二人が椅子へ座る前に、チャイムが鳴った。
壁の
「すぐに開けます。
「ギョウタじゃん」
トネヒサの横で見上げていたウタコ。出迎えに行く
「
トネヒサに続いて、ダイニングルームに入るギョウタ。長身の男性よりは、すこし背が低い。やわらかい表情で、たれ目ぎみ。三十代。
「ども」
ウタコの表情は
「これから食事か。
長身の男性が腰を
「
立ったままの人物は、眉を下げながら口元を緩める。目や口の周りにはシワ。すこし大きめのスーツを着ていて、体格のよさが分かる。トネヒサの左隣に座った。
「ギョウタでいい。
二人は食事に手をつけない。ウタコは
「ケンジは、高い能力を持っています。
「もう一人は?」
「チホは、これからに期待ですね。
「なるほど。それじゃ、頑張れよ」
『がんばる』
肩にのるアマミズが告げた。立ち上がったギョウタは、
「出てこなくていい。そっちで
ダイニングルーム。向かい合う二人。
「
「どういう考えで、そういう
すこし遅めの昼食が始まった。
平日。
クリーム色の建物の二階。ドアが開くと、
「一緒に行こう」
大きな目を細めているチホ。風に
「寝坊したら困るだろ」
部屋から出た男性は、
「通話して起こすから。あ。アドレス教えて」
「え? リスク
髪を整えていないケンジ。部屋着の上にスーツの上着を
二人は階段を下りて、集合住宅の外へ出た。歩道を
「一人だとメガネをかけるの? 大変じゃない?」
「かけない。知っている道で迷うほど、ひどい
すぐに
「便利だね」
「セキュリティがあるといっても、
金属製のドアが閉まる。
木の床を歩いて、北の
中心部にある机には、窓からの光が直接あたらない。天井の照明が、やさしい光で照らす。
五つある席のうち、二つに人の姿がある。
「おはようございます」
「お? おはよう」
北の席と、北西の席から
『おはよう』
空席の上に座る、白いぬいぐるみも
「おはようございます」
「おはよう」
元気な声とやる気のない声が、挨拶を返した。ウタコの向かいにチホが座る。ケンジはチホの隣に。空席の向かいに座る。
「
体を
「私? 忙しい。二人で、仲良く、やれ」
立ち上がった長身の男性が、チホに青いメダルを渡す。両手とも白い手袋をはめたトネヒサ。
「では、優しくお願いします」
男性に、何かを目で訴える
トネヒサが声を上げて笑って、ウタコが机に
『アウト・オブ・オーダー』
アマミズは、
チホにプログラミングを教えるケンジ。
時間が過ぎていく。
午前9時。
トネヒサはディスプレイを見つめている。
チホは、
その手を
10分後。
「おや。いつの
部屋の入り口付近を
「怒られますよ。トネヒサさん」
小声が発せられた。チホが、のばした人差し指を口元に近づけている。
「すぐに出てこないということは、本当にいないようですね」
周りを見渡して、トネヒサが
ケンジが、そちらをちらりと見る。
「まあ、気にしないでください」
バイブレーションの音が鳴った。胸のポケットから
「はい。
「
手を離して、ケンジが体を動かす。左手が自由になったチホ。腕の
「では、メダルをお返しします」
「持ったままでいいですよ。送られたデータを
すでに
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