概要
小さな星屑のような物語
決して有名ではない各地の歴史・民話を題材にした、短編集です。北半球編。全12話(解説付き)。
北米(ネイティヴ・アメリカン)、日本、デンマーク(イヌイット)、チベット、ロシア連邦(シベリア)、インドより。
(個人サイト『The Spirit of the Mystic Valley』に公開している作品の、転載です。)
北米(ネイティヴ・アメリカン)、日本、デンマーク(イヌイット)、チベット、ロシア連邦(シベリア)、インドより。
(個人サイト『The Spirit of the Mystic Valley』に公開している作品の、転載です。)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!世界中のあちこちに根を張る、人類というものの営みの記録
世界各地の神話や伝承を基にした、1話独立のオムニバスです。
どのお話も、冒頭からその独特の世界観に引き込まれます。日本のみならず、ネイティヴ・アメリカンやインド、シベリアなど、普段あまり触れることのできない文化を識ることができます。
人類が命を繋ぎ、膨大な時を歩んできた軌跡が、文化として紡がれる。ほんの一端に触れただけでも、その大いなる奔流に圧倒され、嘆息せざるを得ません。
中には残酷な結末を迎える物語もあり、私は第8話『ででぽっぽ』で涙が止まらなくなったのですが、それもまた時代の流れの中にあった事実なのだと感じました。
各話の末尾に丁寧な解説があり、作者さまの知識の深さ、幅広さが伺い知…続きを読む - ★★★ Excellent!!!燦然と輝く太陽ではなく、散らばった星屑のような、些細で確かな物語たち
時代の流れの中に置き去りにされてしまった物語たちが、
先人の研究と調査を経て記録の上に辛うじてとどめられ、
それらがこうして丁寧な考察を加えられ、演出を得て、
小説として私たちの前に立ち現れ、私たちを過去へ誘う。
白人の進出によって翻弄されるネイティヴアメリカンの誇り、
日本がバラバラの「国」を多数抱えていた頃の人々の価値観、
氷の海に望む北国、雪の頂の高山の国、凍った大地と狼の森、
宿業を背負う人々の国……様々な文化における人間ドラマ。
どの物語も素敵な中で、私はとりわけ「鬼の城」が好きだ。
一視点から語られて伝わる民話に多角的な想像が加えられ、
「そこで本当に起こったかもしれない」と…続きを読む