掌の宇宙

作者 石燈 梓(Azurite)

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★★★ Excellent!!!

世界各地の神話や伝承を基にした、1話独立のオムニバスです。
どのお話も、冒頭からその独特の世界観に引き込まれます。日本のみならず、ネイティヴ・アメリカンやインド、シベリアなど、普段あまり触れることのできない文化を識ることができます。

人類が命を繋ぎ、膨大な時を歩んできた軌跡が、文化として紡がれる。ほんの一端に触れただけでも、その大いなる奔流に圧倒され、嘆息せざるを得ません。
中には残酷な結末を迎える物語もあり、私は第8話『ででぽっぽ』で涙が止まらなくなったのですが、それもまた時代の流れの中にあった事実なのだと感じました。

各話の末尾に丁寧な解説があり、作者さまの知識の深さ、幅広さが伺い知れます。
大変興味深く、勉強になりました。

★★★ Excellent!!!

時代の流れの中に置き去りにされてしまった物語たちが、
先人の研究と調査を経て記録の上に辛うじてとどめられ、
それらがこうして丁寧な考察を加えられ、演出を得て、
小説として私たちの前に立ち現れ、私たちを過去へ誘う。

白人の進出によって翻弄されるネイティヴアメリカンの誇り、
日本がバラバラの「国」を多数抱えていた頃の人々の価値観、
氷の海に望む北国、雪の頂の高山の国、凍った大地と狼の森、
宿業を背負う人々の国……様々な文化における人間ドラマ。

どの物語も素敵な中で、私はとりわけ「鬼の城」が好きだ。
一視点から語られて伝わる民話に多角的な想像が加えられ、
「そこで本当に起こったかもしれない」と感じられるような
手触りと厚みが生み出されて、鬼退治伝説が読者の胸に迫る。

うまくまとまらないけれども。
面白く、興味深く、楽しみました。

★★★ Excellent!!!

 一話一話が独立していて、しかも世界中の神話や民話を楽しむことができます。柳田邦夫の『遠野物語』の世界版を見ている気分が味わえます。一話一話ゆっくり読むのも良し、一気読みしてしまうのも良し。これまでにない世界中の素敵なお話を体感できる作品集です。
 今までギリシャ神話などが多く取り上げられてきた「カクヨム」ですが、この作品の神話・民話・伝説は、世界各地の人々の生活に密着していて、本当に素晴らしかったです。作者様の近況ノートに、解説があって、苦手な人もスラスラ読めてしまいます。
 是非、御一読を!