24.5 閑話
全てが終わった。とは言いがたく、祭りの翌日、古海のお爺さんに送られ帰路についた。道中古海のお爺さんはニヒルに笑って言った。
「あの話の流れで君が出てきた理由はまだ分かっていないようだね。ははは。ま、おいおい分かるだろう。それまでは悩め、少年」
こいつは古海よりも食えない爺さんだ。そういうことで俺の心のモヤは消えることなくいまも燻っている。
夏休みもあと一日で終わり。俺は夏休みの課題に抜けがないか(わからない箇所は白紙だが)確認をしていた。そこへ突然侵入してきたのは、
「お兄ちゃんのパンツはいねがー!!言うことを聞かないパンツはいねがー!!」
「パンツを探してるのは分かるが、言うことを聞くパンツなんてお兄ちゃん聞いたことないよ」
俺は課題をリュックへしまい、突然のインベーダーこと結花の方に向く。が、結花は俺のベッドでゴロゴロと寝そべり、お兄ちゃニウムを補給しているようだった。
「うーん!スメルなにほひだぁ…」
うわぁ、お兄ちゃんドン引きだよ。俺の顔を見て結花は慌ててベッドの上で座り直す。なんの用かと問うと、突然真顔になりこう言う。
「縁日の時のアレ、どういうこと?」
「縁日の時のアレ?」
「鳴八先輩と二人でどっかいっちゃったじゃん」
ああ、それか。それで今まで機嫌が少々悪かったのか。説明しようにも二人だけの秘密だと言われたので言う訳にもいかず、さてどうしようかと迷ってしまう。
「社にお参りしてたんだよ」
「あたし達をおいて?」
「あー…」
鋭い詮索に俺は言葉に詰まる。どう誤魔化したものか。
「まぁ、言いたくないなら無理にとは言わないよ。でも、あまり思い詰めちゃダメだよ」
「…分かってるよ」
俺がここ数日物思いにふけっていることがバレていたのか。古海と桐片の関係を、桐片本人に聞き出そうか迷っていたのだ。
「それだけ。じゃぁねー」
結花はひらひらと手を振って部屋を出ていった。
「あいつもキザになったなぁ」
感動していると、ふと違和感に気づく。そう言えば風呂に入る用意をしていてパンツを出していた。俺は慌ててパジャマをひっくり返す。しかし、ない。風呂から上がる際の大切な布が。そう、パンツだ。
「や」
俺は心の奥底からの苦悩を声に出す。
「やられたぁーーーー!!!」
俺のパンツはいつ手元に戻ってくるのやら…。
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