18 パンツ要素ないと思ったけどそんなことなかったネ!
最近、妹がパンツを盗む文章が出て来ていなくて、タイトル詐欺じゃね?と、思ったそこの君。んなこたーない。
「ふっふっふっ!お兄ちゃんのパンツは頂いた!返して欲しくば、パンツをもう一枚よこせ!」
「それじゃプラマイゼロだろうが!!」
結花は部屋を縦横無尽に駆け巡り、俺はそれを追いかける。この光景は日常茶飯事だ。
この愚妹、未だ俺のパンツを盗み続けているのだ。この間はシュシュを制作していたが、だんだんエスカレート。俺のパンツをありとあらゆるものに変身させている。
例を挙げていこう。結花のパンツやブラ。靴下、花粉防止用のマスク、自転車のサドルカバー、手袋、枕カバー、シーツ、ぬいぐるみ、カーテン、etc…。
もうここまで来ると感心しかない。なぜそれを知っているかって?それを作るたび、結花は俺に見せつけてくるのだ。その芸術作品を!!
「てめぇ!今度はそのパンツで何作る気だ!」
「コースターでも作ろっかなー」
ルンルン気分で逃げる結花。それを聞いてげんなりしつつも追いかける俺。とあるネズミとネコのアニメを思い出す。
「じゃ、そゆことでー。ばーい!」
結花は俺の部屋をひらりと華麗に出ていき、自室にこもってしまった。これで今日も俺の負けである。
「ぜぇ、ぜぇ、あ、あいつ…、体力めちゃくちゃあるな…」
もはや、我が唯一無二の妹に勝てる要素がなくなってきた。妹とは神なのか。そんな考えが脳裏によぎるが、よく考えてみれば集中力は俺の方が勝っている。多分。間違いなく。
「タンスに鍵でもかけとこうかな…」
しかし依然として、結花の暴走が止まることは無い。むしろ日に日に過激度が上がってる気がするのだ。もしそれが本当なら笑えない冗談だ。
「あー、この間鍵つけたけど壊されたな…」
よもや諦めるしかないのか。しかし、俺はふと思いつく。
「パンツを隠せば良いのでは!?」
世紀の大発見である。俺は早速、思考を巡らせ、部屋を見渡す。隠すのに最適な場所といえば、まずは王道のベットのした。が、ここには俺の大事な秘蔵物がある。そして、それを結花は知っている。
「却下だな」
次に、本棚の後ろ。俺の本棚の後ろには隙間がある。が、入ってせいぜい2~3枚。そんな数取られても微々たるものでしかない。
「ここも違う」
次は、押入れ。中には色々なグッズが置かれている。通販のダンボールにぶち込んでおけばあるいは…。
しかし侮ることなかれ。結花の探索能力は異常。あいつ、俺のノートパソコンから秘蔵フォルダを見つけて消してやがったからな。
「くっ!隠し場所がねぇ!!」
隠せばいいじゃないと豪語したものの、いざやるとなるとなかなか思いつかない。
「もうなんか、考えるのめんどくなったな。うん。明日の俺が頑張るさ」
全てを投げやり、明日の自分に仕事を押し付ける。この手に限る。まぁ、次に苦労するのは自分なのだが。上手くやってくれているよう願うばかりだ。
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