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エスパーのエスパーによるエスパーのための球技大会を、２０２０年夏にも開催する運びとなりました。実況は権田宮勝、解説は正宗鳥円之城でお送りします。

死を展示する博物館で、案内者と見学者の二人は、イメージが映される水槽をめぐる。古代人の死のイメージ。戦争のイメージ。自殺のイメージ。そして映し出される、病が蔓延した年の死。それに…

なにもない国。なにもない街。祭りの狂乱が去った後で、霊を視る者たちは、死者の宿る、死せる廃墟をめぐる。災害指定都市でひっそりと行われる、奇妙なボランティアの記録。オカルト霊能散歩…

影の少年は、喜んで死ぬつもりだった。みんなもそうだろうと、本気で信じていた。

小説投稿サイトに投稿するのが趣味のＡは、一応は民兵であり、人を殺していた。Ａはある夜、サイトのキャンペーンに目をとめた。Ａのこころはなぜだか揺らいだ。

歩行の苦手な彼は、歩行の資格を失い、教習所に入れられた。教官による厳しい訓練。果たして彼は魔のＵターンを越えられるか？

夜の校内で血祭り騒ぎ。死者が起きるとさあ大変。食べたら眠れ、食べたら眠れ。

四年に一度やってくる秋。すべてを枯らせる無情の秋が、いま、村を包もうとしていた。老いた樹人と幼い樹人は、静かに言葉を交わした。

彼女の身体は硝子だった。彼女のこころも硝子だった。脆く儚く傷つきやすい。硝子の彼女は恋をした。いまにも砕けそうだった。

彼は、食わない犬だった。彼は、食わなくても死ななかった。彼は、気がつくと百年生きていた。百年生きた犬の、短い一代記。

社会はつながりを希求している。そう信じたテレパスたちは、能力を公然と示し始めた。たとえ迫害と弾圧が待っていようと。 カクヨム甲子園の「恐怖はSNSからはじまった」に応募したかっ…

朝、学校に向かうぼくは、玄関先で立ち往生。扉を開けるとぼくの死体。玄関先で大混乱。ぼくは恐怖で蒼ざめる。ぼくの死体も蒼ざめる。ぼくの思考が踊り出す。

『ぼくを葬る　その他の詩』という詩集から、夜に関する詩だけ集めて、詩集に編んでみました。夜への偏愛と不眠の痛み、そんな個人的なアンソロジーです。

街を、六人の幽霊たちは、さまよっていた。遊んでいた。死んでいた。夜を、六人の幽霊たちは、さまよっていた。逃げていた。死んでいた。 ずいぶん前に書いた作品です。消すかもしれません。

山の上に、吸血鬼たちの学び舎はあった。彼らは学び、遊び、血を飲み、穏やかな日常を送っていた。ぼんやりとした死と忘却の予感に浸されながら。ある日、生徒のひとりである光岡正は、森木明…

滅んだ世界に、廃虚のように残された、巨大なる夢蝉の抜け殻。その中に人々の街はあり、詠み人の紡ぐ物語は、殻を光で満たしていた。しかし、四六番目の殻の詠み人カタリは、物語を紡ぐことを…

初めに“おめでとう”が消えた。次に“ありがとう”が消えた。世界から言葉が消えていった。言葉が次々と死んでいった。 あまりに短く拙いですが、『残像に口紅を』へのオマージュのつもりで…

十二才で死んだ少年は、今日もふらふらと現世をさまよう。久しぶりの生まれ故郷。チャンネルの合った幽霊。夜の死神。春だった。

丘の上に竜は眠っていた。丘から見下ろせる時計塔の街。それは竜の夢に巣くう街だった。 KACの締め切りが迫ってきたので、駆け足ぎみです。いつか加筆したいな……。

シンデレラは心がとても薄汚れていました。シンデレラは魔法使いのおかげで舞踏会へ来ることができました。シンデレラは邪な瞳で王子を狙っていました。

夕暮れの帰り道を、母親と息子は歩いていた。息子は社会からずれていた。息子は社会と食い違っていた。息子には線が理解できなかった。

体が紙で出来ている紙人間は、窓がひとつきりの部屋で、紙の鳥を折る毎日を過ごしていた。彼の生涯はその部屋で完結するはずだった。詩と出会うまでは……。

ぼくはいま、ギロチンにかけられようとしていた。ぼくの好きな、ぼくの幼なじみの、ぼくの殺した独裁者の娘の手によって。そしてギロチンの刃の下で、ぼくは彼女に恋を打ち明けた。

人間の滅びた遠い未来。二体のアンドロイドは、ドームの内側に造られた楽園で、アダムとイヴを演じていた。造られた夫婦の造られた生涯。

樹海でわたしは首を吊ろうとしていた。死にたくてたまらなかったわたしに、そのフクロウは、透きとおった声で語りかけてきた……。静かな樹海に佇む、おしゃべりなフクロウの夢。

「ぼくを葬る　その他の詩」というタイトルで詩を延々と書いているのですが、それの少し前に書いた詩です。あまり代わり映えはないですが、詩を書く楽しさを知るきっかけになりました。

学校からの帰り道、交差点にさしかかった少年は、横断歩道を渡っている途中で影の世界に迷いこんでしまう。空は真っ黒、地面は真っ白、人々は黒い影で顔もわからない。そんなありふれた迷子の…

踏切を守る門番、三玲と千景。双子の少女は、死者たちの魂を運ぶ列車を守るために、踏切で戦いつづける。

放課後の校舎からは色彩が消え失せて、モノクロームの無人空間と化していた。そこでしか生きられない少年は、猫の霊と共に貘を退治しにいく。

道具屋の監視人は、頻発する万引きを今日も見張ります。万引きするのは、エルフの女性、老いたトロール、人間の魔術師と、今日も多種多様でした。

人間のすでに死に絶えた世界。アンドロイドの少年はひとり、廃墟をさまよい、玩具を集め、遊びつづける。少年が関心を持つのは、玩具と、造り主のエイン博士と、そして、ホログラムの熊だけだ…

屍者が出没する社会には、屍者が罪を犯す社会には、屍者の罪を裁く屍者の捜査官がいた。

夜な夜な階段に現れるカラスに怯えるタダシくん。彼の一場の経験を描いた童話です。