硝子少女

作者 koumoto

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★★★ Excellent!!!

 描かれているのは現実にもありそうな日常のはずなのに、硝子の体を持つ少女という非日常の存在が日常と非日常の境をあいまいにしている。

 美しい空も、とりとめのないおしゃべりも、何気ない母の言葉もさりげなく、それだけであれば青春の一幕を見つけたような気持ちさえするのに、そのあいまいさが読者を主人公の硝子少女の傍に立たせ、孤独や疎外感が身に沁み、突き刺すようだった。
 読み返すほど強まるその感覚が、ラストシーンで思わず叫びだしたくなるような感情に突き動かされる作品。

★★★ Excellent!!!

 「他人は敵」「普通とは何か」といったような、思春期に抱きがちな心情を、「体が硝子」という体質に反映していたように思います。
 「珍しがられる→それに反発する→嫌われる→一人ぼっちになる」というやり公式が出来上がっていたんですね。でも保健委員の子はその公式から外れた反応を示しました。居心地が良かったというよりは、おそらく目新しい反応に主人公は好奇心を抱いたのではないでしょうか。それはまるで、ずっと同じ格好でいた人が背伸びをした時に感じる感覚のようなもので……。
 あと、胃の内容物はどうなるのだろうという疑問に言及していたのも嬉しかったです。体の仕組みに関して言うと、透明ということは、網膜も透明で、ということは網膜が光を受け止められないということになり、視力にも問題が出てくるのじゃないかな、という気もしました。その点も、ちょっと読んでみたい気がしました!

★★★ Excellent!!!

硝子の体で生まれた少女は、常に周囲からの好奇の視線に晒され続け、そんな煩わしい他人を拒絶して生きてきた。
ひょんなことからランチタイムを共にする友人が出来た、気がしたのだが……。

主人公の心の叫びが、まさに『ガラスの針』の様に、痛いほどに読者の心に刺さります。
悲しい話だけど、不思議と澄んだ読後感のある作品です。

★★★ Excellent!!!

思春期、自分と人の違いは非常に恐ろしいものです。
ぼくも容姿にコンプレックスを持っていたので、すごくわかります。
あるいは、思春期に限らず。いつ何時でも堂々と生きられる人間なんてほとんどいないのかもしれません。
壊れそうになる心を、必死に繋ぎとめている少女の孤独な戦いの記録です。

★★★ Excellent!!!

硝子少女の哀しみに共感というより、私自身の過去の傷跡がひりつくような痛みを感じました。
ですが同時に、私が普段から感じている想いを、物語中に硝子少女が代弁してくれたように感じ、心の靄が払われてすっきりもしました。

また、言葉にすることが中々難しい、複雑な感情の機微を繊細に表現されていて、素晴らしいと思いました。
硝子少女と、保健委員の最後のやり取り、少女の姿まで、胸に刻み付けられた感触を抱きました。
心に残る、素敵な小説をありがとうございました。