人間の残したものも、白いホコリも、何もかも等しくただ存在するだけの世界愛を知らずともこの世界に興味を持つことはできるかもしれないそしていつかこの世界を愛せたら、同じように誰かを愛せるかもしれないこの作品に眠っているのは、いろんな可能性の芽吹きです
愛、悲しみ、苦しみ、といった人間らしい感情をアンドロイドが持ちうるのか?答えはイエスでもあり、ノーでもある。翻って、人間らしい感情とは何か、と考えてしまう作品でした。
少年のロボっぽさと子どもっぽい趣味と愛情の書き方が絶妙。少年の博士への想いも、彼はああ言ってるけど愛なのだと思いました。寂しくって、綺麗で、閉じてる短編。文字数より濃ゆい。
全体的に寂寥感の漂うノスタルジックな表現で、人類滅亡後の世界に取り残されたアンドロイドの少年の姿が描かれています。 滅亡してしまった人類のことを「影となり果てた」と称するなど、詩的な表現が随所にちりばめられ、滅びの美が淡々と綴られ、独特の情緒を醸し出しています。 あざといざまぁやチーレムに疲れた時に、こういった詩的な作品を読むと癒されますね。
廃墟と化した、人類滅亡後の世界で、アンドロイドの少年は何を思うのか。そこにあるのは、残像と記憶、そして遊ばれることのなくなった玩具。もの悲しくも、美しい世界観です。
ストーリーとして何がどうという話ではないんだけど、ただひたすらに、すべてが美しい。たまーにこういう美しいものと出会うことがあるから、WEB小説というものもやめられない。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(274文字)
「エイン博士は人間を愛していなかったし、少年もエイン博士を愛してはいなかった。それでも、少年は博士の残像をその記憶から消すことはないだろうし、形見の外套が、すりきれて使い物にならなくなったとしても、継ぎをあてながらでも纏いつづけることだろう。」 ~ 本文より
内容やストーリーを楽しむというより、この世界観や文章を楽しむ小説かなと感じました。
廃墟となってしまった地球で、アンドロイドの少年が彷徨う幻想的な世界です。
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