「遺影」を含む小説

「僕の遺影を描いてください」 　意を決して頼んだ相手は、全色盲の画家・榊だった。 　色は一切見えていないし、着ている服は黒いものばかり。そんな榊の描く絵は、しかし息を呑むほ…

　22世紀。XRゲーム用に開発された人型ハードウェアに人工知能を搭載し機械型生命体──P.S.（ポスト・サピエンス）。その実験施設として建設された学園都市「ダルシー地区」から、鑑…

ある主人の遺影には桜の小袿がかかっている。その理由を語っていく使用人。黒いリボンを結ぶことが通常の遺影の影には鮮やかな桜色の小袿があった。その死と鮮やかという正反対の色彩が織られ…

クロノヒョウ様自主企画参加作品です。

第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】二十首連作部門

夢の中で、これは夢だと気づいた。 初めてみる明晰夢は、結婚式場だった。だがこの会場は何かがおかしい。 招待客が全員、白い衣装を着ている。ウェディングムービーが全て心霊写真。親族…

八王子の人里離れた瘤山町。 葉室一家四人が、惨殺遺体で発見された。その家の主と長男は行方不明。 事件の現場検証をしていた捜査員達は、その家の地下に隠された「ある部屋」を発見する。…

「パッと咲いてパッと散りたい」 　そう告げた幼馴染の花蓮は突如この世から消えた。 　そして二年数か月後に別人の姿で遺体となって現れた。誰もがその子を花蓮という。でも僕はどう見て…

SF短編。 惑星に穿たれた次元坑道から超空間の中へ入り、過去の遺失物を回収する人々のお話。

俺の実家はそれなりに古くて大きい家であり、旧家の常として仏間の長押にずらりと遺影が並んでいる。問題は、その中に肖像画がいくつか混じっていることだった。

真夜中過ぎの雪の降る小さな街。一人男が歩いて行けば、その街は存在するのか？　自分自身は存在するのか？　その世界は何処？

かあさんが亡くなった。 葬儀のために実家に戻ったけれど、飾ってある遺影に見覚えがない……写真を撮ったのは私だってとうさんが言うけれど。 　 おときのの席で、とうさんと伯父さんの会…

亡くなった母の遺影を見て、私は子供時代のことを思い出す。ブスは勉強しろと毎日呪詛のように言われ、椅子に縛り付けられていたあの頃。私は、母に何を思うのか。

遺影と陰膳。ホテルの計らいで、夫のいない新婚旅行だったが・・・。

男は72歳でこの世を去り、気づいたら天国か地獄か振り分けられる行列に並んでいた。生前の行いからして天国に行けることは間違いないと思いながら、水たまりに移る自分の葬儀の様子を見てい…

クラスメイトが自殺した。 無関心、嫉妬、執着、特別。死んだ少女に様々な感情を抱いていた少女たちは、その時なにを思うのか。 4人の少女の思いを描く短編集。

　毛利雀（もうり・すずめ）くんは１６歳の高校生。夜の公園で思索していると― 　同級生の桐常葉(きり・ときわ)に襲われた。日本刀を持ってやがる。 　彼女は彼にこう言う。『君は…この…

　人の写真を撮ることが出来なくなった少年と写真にくっきり写る幽霊が出会った。 幽霊は少年にあるお願いをする。 それは自分の遺影を撮って欲しいというものだった。 2人の青い夏休みが…

伝統ある女子校で学級委員長を務める朱城絢野（あけしろ あやの）は、教師から、学園の問題児で金髪ギャルの望月映見里（もちづき えみり）に校則違反の注意をする係をさせられていた。 出…

教室で「彼女」の遺影を撮る「僕」。 彼女が遺影を撮ってもらう理由は？ 僕が撮り続ける理由は？ 2023年カクヨム甲子園　中間選考突破作品