情報量の多い遺影

　22世紀。XRゲーム用に開発された人型ハードウェアに人工知能を搭載し機械型生命体──P.S.（ポスト・サピエンス）。その実験施設として建設された学園都市「ダルシー地区」から、鑑定士クラスの実験体・トーカと模倣体クラスの実験体・ララドが逃亡した。

　ララドとトーカ。二体は共に、「今世紀最大の発明」と称されるほど高性能なP.S.であった。性能をテストするための鑑定試験も問題なくクリアし、卒業認定後は人間社会において活躍すると期待されていた。にも関わらず、命懸けの逃亡を企てたその真意とは──。