アオを遺す
ch-neko
プロローグ
あの夏はとても暑かった。
その暑さはベランダで目玉焼きが焼けそうなほどであった。そんな気温では扇風機も意味を持たず、自分しかいない空間でエアコンという贅沢なものを使うことは許されないだろう。
こういう時は何もせず外をただぼんやりと眺めるに限る。
こんな暑さでも僕は夏が好きだ。
夏には自分たちの出番だと言わんばかりに蝉が鳴き、青い空に彩りを与えてくれる向日葵やあさがおが咲き誇っている。
そんないきいきとした夏の主役たちを写真に撮るのがたまらなく好きだからだ。
そしてそれらを楽しむ人々の笑顔を撮るのも同じくらい好きだった。
そんな事を考えていると主役の一つである入道雲がでかでかと姿を現していた。
これはぜひ写真に収めなければと思い、僕はカメラに手を伸ばした。
ベランダへ飛び出て、狙いを定めその青い青い空へとシャッターを押す。
カシャ……
○○○
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