「波 幻想」を含む小説

《月葬》それはなにも遺さない葬式だ。だから廃れた。 けれどもわたしは今宵、双子の姉を月に葬る。姉を愛するがゆえに。 「ね、ふたりだけのお葬式をはじめようか、姉さん」 わたしに…

　夜波奥渡は花の高校2年生 　この世界では高校2年になると精霊とパートナーを組まされる。精霊達は人間の精神的エネルギーを主食とし成長し、人間も異世界に渡り戦うのに精霊の助力があれ…

とある曲からのインスピレーションで書きました。音の水面から光る言葉を掬い上げるような作業で書いてて楽しかったです。

ひとつ、森の魔女と夜の魔術師の物語。 ふたつ、静謐の魔女と戦火の聖人の物語。 みっつ、虚無の魔術師の物語。 ※この物語集は「沫たつ時波の物語」コレクション（https://ka…

平清盛が、一門の最後を見届け、自らの悲劇を哀れむ、という幻想の世界。

夏の光が街を貫くなか、冷涼に保たれた自分の部屋で、咲羅は祖父から送られて来たラベンダーを袋に詰め替える。椅子や床に座り、その匂いに包まれながら、咲羅は人魚や妖精や花々に出逢う。よ…

大学4年生の主人公ニュイが、夜の海を通して懐かしい女性と不思議な体験をする物語です。 波の音と星空が広がる砂浜で、ニュイはマタンと呼ばれる女性と再会し、彼女と共にクラゲ星を見つけ…

世界に散らばる、単一の眼では捉えきれない物語。 過ぎた時間の海に沈みながらも息づく物語は、集束する事で大きな波となる。 異なる観測点から見える幻想譚にも、確かに『生』があるのだ。…

「想像して。ここは教室ではない。貴方は今、広い砂浜に立っている。波音がして、綺麗なアクアブルーの海水が、脚に寄せては引く。冷たくて気持ちが良い。感じてみて……」 　しおんは放課…

その男は全ての音に旋律を見出した。楽器が出す音だけではなく、人や生き物、物質が出す全ての音を好んだ。 男は物理的な空気の波ではなく、色彩や感情、行動や現象にも音を見出していた。 …

「旅」と「成長」がコンセプトのこの作品は、大きく２部構成になっています。「神話」をテーマにした第一部は、平凡で少し頼りなさそうな新社会人の男性が主人公です。社会の波に揉まれてスカ…

　今夜はじつに波の穏やかな夜でございます。それもそのはず、鼻高々な四日月はその自慢の先に鼻提灯ふくらして「ズー、ズー」と寝入っております。 　また大層みごとな満天の夜でもございま…

今、下書きに戻すボタンを押せば。 今、削除ボタンを押せば。 今、カクヨムを退会したら。 この作品はインターネットの海から切り離されるのです。 何も残らない……のでしょう…

　遠く宇宙で起きた爆発により、エーテルが乱され、生み出された魔力波が地球を覆った。 　魔力とは、思念や幻想を具現化する力。 　一人や二人の思念では何の影響もないが、多くの人間が共…

恋人との別れを確信し、所持金も使い果たして八方塞がりの20歳男子は、遠い孤島からの招待状と迎えの男に縋って旅立った。気さくで優しい人々に歓待され、心は和んだが、彼には重大な使命が…

　その街は灰色を印象としていた。 　透きとおっているわけでもなく、霞んでいるわけでもない。曇っているわけでもなく、ぼやけているわけでもない。透明度はひどく高く、彩度だけがひどく低…

「こんな仕事もういやじゃあああっっ！！」 学生の頃より派遣会社で馬車馬の如く働いていた器用貧乏かつ万年貧乏の黒鳥《くろとり》 翡翠《かわせみ》。なんやかんやで異世界転移した後も…

　十八世紀末、蒸気機関の発達は科学と産業を飛躍的に発展させた。 　そして、人々は忘れてしまった。遥かなる追憶の彼方へと。 　幻想郷（アヴァロン）を―――― 　自らをミス・ペンド…

《げっか いつくし の きみ》　月光が明るい夜。主人から頼まれた使いを済ませ、急ぎ屋敷へ帰る中、崖上から暗澹とした海を見つめていると、波音に紛れて、ぱしゃぱしゃと軽快な水音が聞こ…