「女主人公 第10回角川文庫キャラクター小説大賞」を含む小説

　羽菜（はな）は魔女の末裔だが空を飛べない。それは名前に〈花〉の一字がないからだ。 　高校に上がって最初の夏休み、羽菜は飛ぶことをあきらめきれない心と決別するため最後の賭けに出…

　――ここは冥土。天国と地獄の間。 気がついたらそこで閻魔様の裁判を受けていていた桃花（ももか）は、急速に感じた空腹に耐えかね、あろうことか閻魔様のご飯を食べてしまう！ 　けれ…

皇帝の突然の崩御によって、国宝である護（まも）り刀の力が失われてしまった、皇雅国（こうがのくに）。結界を失い、『あやかし』に村ごと喰われ天涯孤独の身となった沙夜（さよ）は、祖母の…

ヴァレリア共和国には高い塔があり、その最上部で〈遠見〉と呼ばれる千里眼の者たちが長距離監視の務めを果たしていた。だが現在の〈遠見〉である少女レンにそのような力は一切ない。他に適任…

呪われた島に、王の娘として生を受けたお姫様セレネ。 彼女の生き様は高貴な血筋にそぐわないものだった。 風を切り、獲物を捕らえ、逃がさず咬みつき、王宮に戻ってくる。 そのよう…

　村で静かに暮らしていたクロエは、妹の代わりに辺境伯のもとへ花嫁として献上される。 　実は花嫁とは名ばかりで、辺境伯は領地から生贄に使える若い娘を差し出させていた。 　殺されるの…

　世界に魔法と知恵をもたらした神の一族――その末席に籍を置くオリヴィアは特段秀でた才能のない「普通」の少女。神の血を引きながらも「普通である」ことを母に責められ、父親が失踪した家…

「……わ、わたしたち、正真正銘の、敵になったってこと？」 　輪野村には、犬猿の仲である魔術師の一族、三日月一族と桜一族が暮らしている。妖怪退治の依頼を取り合ったり、決闘をしたりし…

高校一年生の池本カラスウリは、その変わった名前のせいで、幼少の頃から周りの者たちにからかわれてきた。 高校に入学してからもそれは変わらなかったが、ふとしたきっかけでお笑い研究部に…

　祭りが近づく山奥の星降る町・石雪へ行商に出かけた神社育ちの登与は、実は天狗だという押しかけ女房と共に行方知れずになったと言い伝えられる刀鍛冶らしき男が現れては消える廃屋に滞在す…

鮎川千咲は短大卒業後も就職が決まらず、学生時代から勤務していたインターネットカフェ『INARI』でアルバイト中。ずっと日勤だった千咲へ、ある日店長から社員登用を条件に夜勤への移動…

それは遠い昔のこと。〈朔の夜の迷い人〉と呼ばれる存在がいた――。 ヴォルテンブルグ家の娘イングリッドは日々、終わりの見えない王位継承争いを打破すべく実父へ様々な提案を試みていた…

「レイラ、君を迎えに来たよ。 　さぁ、一緒にパパの国へ帰ろう」 校庭一面を埋め尽くす花畑の中、 黒い髪に浅黒い肌、黒いスーツに身を包んで立っているその男は、 まるで悪魔のようだ…

道南・函館市。三月某日。 無事高校卒業の日を迎えた巴は一心にある場所目掛けて駆けていた。 それは、大三坂の途中にある英国喫茶。 長年の想い人である店主・誠志郎に会う為に。 出迎え…

母子家庭に育った藍里は、ある日事故で母親を亡くしてしまう。 両親の実家とは絶縁状態で、頼れる人もなく途方に暮れる藍里のもとへ、大叔母の智里が訪ねてくる。 母親をきちんと弔う為にも…

父の仇を討つために、軍人となった御桜ホノカと御桜ヒノカ。 上から煙たがられながらも、異例の出世を遂げた二人は、ある日とある隊の隊長を務めるようにとの命令が下された。 そこは以前…

『地味石ミリー』『洞穴王女』と囁かれるミリアは、鍾乳石が宿り石のゆるい王女であった。 明るさとおおらかさだけが取り柄のミリアはある日、理不尽に戦力外通告を受けてしまう。しかし…

守梨はビストロ「テリア」を営んでいた両親を同時に喪ってしまう。 幼馴染みの祐樹が見守ってくれていた。 そんな祐樹は幽霊が見え、両親が幽霊になってお店に帰って来たと言うのだ。 悲…

「詠唱するからこそその魔力に力が宿り最大の効力を発揮する」 無詠唱使いであっても詠唱の声にこだわる理由は師ジャノスからの教えによるものであり、それを体現することのできる少女エル…

　貧民窟のドブ川で拾われたシャオロン。 　彼女を育てたのは、その一帯を治めるボスのヘンス。幼い頃から、彼に鍛えられて育った彼女は、１８歳になったとき、南煌（ナンフォアン）王国に…