「伝承」を含む小説

　小綿紬希。 　十歳。十歳である他は、とりたて特徴のないその少女。 　膨らんだほっぺた。見つめた相手がそのまま映る水面色の澄みきった瞳。 　国語の音読も、九九も、足取りも視線も…

伝承に伝わる男が斃され、街が復活してから千年が経ったことを祝う祝宴の中で、赤目の人々は何を思うのか――。 ※孤城の夜想曲のアナザーストーリー、栄都の狂詩曲（短編）の赤目サイドの…

東京に破滅の兆しがあるといっとう初めに気がついたのは、恐らくナポリの魔術師ヴィルジリオそのひとだ。 彼はむろんラテン文学最大の詩人ヴェルギリウスではない。残念ながら、英雄譚『アエ…

村一番の勇敢な若者ノナンは、悪さをする竜を退治しに向かう。　＊2017年発行の合同文芸誌『みのまわり vol.1 靴』収録、2019年発行の同人誌『春の夜のステラビナリア』再録

アマビエにまつわるお話という企画に応募してみました。存在すら知らなかった妖怪ですが、調べてみると色いろ面白い伝承があり、ぜひ、応募してみたいと思いました。 ちょっと趣旨から外れて…

※近況ノートを利用した表紙画↓ https://kakuyomu.jp/users/HiranakaNagon/news/16818093083068096599 　日本舞台だ…

受験を舞台にした、人間の存在に大事なもの 葉太のクラスの桜子は、成績優秀、友人関係良好、なんの欠点も無い絵に描いたような優等生。 成績上位の彼女は、校内に数少ない受験生だった。…

片目の魚しかいない沼、寺にある幽霊の絵、怪しい東北の民話や伝承を短編小説に。

祖母は言う、「霧の中で口笛を吹いてはいけない」と……

これは、まだ魔物が存在していた時代の話である。 その昔、世界は黒と白に分かれていた。黒は魔人率いる魔物群、白は人間・聖人・精霊率いる魔物に対抗する同盟であった。 両者の力は拮抗し…

【毎週 月曜 6:00・水曜 12:00・金曜 22:00更新】 星のエネルギーであるマナ。太古の昔、"サカズキ"という武器をもってマナを自在に操り、魔術を行使する人種、ホシタミ…

疫病が流行った年には、アマビエという妖怪の絵を描いて見せるといいらしい。 字書きとしても、何か出来ることはないだろうか……。 いわゆるライト文芸の世界では、最近「あやかし」もの…

　十三夜の晩に月明かりの下で影踏み鬼をすると、影の中から黒いおばけが現れる。 　おどろおどろしい見た目に反して臆病な一面があるというおばけの噂に、転校生の少年Yは興味を持つが、他…

伝奇、詩、捉えどころのない人。どちらからも半端ものとされた人のお話。

その土地には、「少年の形をした死」が存在した。 少年は死者を導き、森へ行く。数多の生命と関わる中で、彼にとっての救済はいかにして生まれるのか。 山形県のモリ供養の風習、諸伝承を下…

　陰陽師の家系としての千二百年以上の歴史を持つ氷狼神社、そこには古来脈々と継承されてきた舞と太刀と言付があった。 　氷狼神社の後継として生まれた主人公の少年は、社に代々伝えられて…

１９９６年。５月。 私・大城琴（おおしろ・こと）は、気になる同級生の七宮栞（しちみや・しおり）と地域の伝承『橋姫伝説』について刻まれた石碑を見に行くことにする。 宮城県仙台市…

　童話シンデレラに似た伝承が残る国に転生した少女の物語。 　伝承が齎す光と闇、それを知った少女は一つの選択を下した。 　伝承に抗うと。 　されど、運命は彼女を放っておいてはくれな…

荒野の彼方に棲む魔王の、侵略の手が伸ばされた小さな王国。 その辺境に、天下に13ある秘剣のひとつが伝承されていた。 見かけは妹でしかない師匠を姉と思い込んで育てられてきた若者は、…

昔々、あるところに……。 民間伝承の収集が趣味という、変わった王子様がおりました。 これはそんな変わり者の王子様が集めたらしい昔語りの一つです。 この作品は作者個人サイト「お…