「短編/人外」を含む小説

少女が目を覚ますと、そこは鉄屑の荒野だった。 嫌なことがあっていつもより長く寝ていた吸血鬼の少女・エフェメラは、瓦礫に覆われ荒廃しきった世界で目を覚ます。 人型珪素生命体・ゴー…

　なぜか帽子とコートにこだわる主人公が入り込んだ寿司屋は、どうしようもなく駄目な店だった。マズメシ＆ワケアリ主人公のショートストーリー（サメ映画のような場面はないので、予めご了承…

トントンカラリ、トンカラリ―― その音が出会わせたのは、至上の美を紡ぐ傷だらけの指先。 傷付けることを恐れて、それでも翼を広げて翔けた……ここにいる、と伝えるために。

孤島の研究所で育った守屋一夜の友人はたった一人、鳥かごに住まうハルピュイアの少女アルバだけだった。 時間制限付きの友情が愛情に形を変えた時、二人の間には決して壊すことのできない壁…

数十年前、男は「メリーさん」と称する怪異と遭遇したものの、ある方法で生き延びることができた。時が過ぎ、中年となった男は職も家族も失い、怠惰な日々を送っていた。そこに現れたのは、長…

女は急いでいた。 約束の時間まであと少ししかないのに、足止めをくらい遅刻しそうだった。 なんとか時間までに辿り着いた歯科医院で、女は帰る頃に驚愕の事実を知る。 女は震えながら、恐…

異世界からこちらの人間世界にやって来た悪魔ベルゼ。人間の絶望を餌とするベルゼは、人間が絶望する匂いを追って渡り歩く。人間の善悪の基準を持たない悪魔であるが故に、彼が起こした行動の…

　人間が死に絶えた植民星が増えつつある未来。絶滅危惧星保護協会に所属しているイエナ・ハリストスカヤは、ある星に派遣される。無気力に上層部へ従う彼女には、唯一保持している意志があっ…

クラスメートの猿渡君にまた怪談を聞かされた僕。 帰り道に、小学生の女の子に声をかけられた。遊んでほしいと言ってくる。 でも相手は人ではないから振り向いてはいけない。 あぁ、今日に…

山のてっぺんに棲む嵐の怪物は、麓の村で暮らす少女アウリに出会い、彼女との交流を通して少しずつ心を開いていく。ある日怪物はアウリを巣に招き、共に眠りにつく。けれど次に目覚めたとき、…

「僕」はある日、洋館の庭で絵画と共に"居た"老紳士と出会う。老紳士は絵画を己の妻であると「僕」に話した。 そんな、絵画に恋した老紳士の話。 ※去年八月頃に参加した一次創作エア同…

“森の配達人”になる「フラウ」と、彼女を見守る大人たちとの一日を記した物語。

　旅の神官シャリナには秘密があった。祈りを捧げていない時でも神と対話することができ、しかもその声が彼女の実の兄のものに聞こえるのだ。歴史の裏側を教わりながら、人に紛れる魔族ルノア…

耳が長くても、目が三つでも、翼があっても、夜眠らなくても、他人がおいしくても、死ななくても、生きてなくても（略）その秘密を証してはいけません。

異世界の転移先はおぞましいモンスターの巣であった。 扱いは残酷で、眠ることなく永遠に―― 沢山の娘と息子ができた。 そして愛情も。 だから、脱出の際に彼らを見捨て…

生贄の少女は、蒼虎と旅に出る。

　砂漠の街に降り立った老人とローブを着た少女。 　名所である遺跡に向かおうとしたものの、そこに行くための乗り物に乗れなかったために出直すことを余技なくされる。 　そんなふたりの…

「......ねえ、それって本当におもしろいの？」 「おもしろいっていうか......ふしぎな時間を感じる。頭がからっぽになりそうだよ」 　とある街でぬいぐるみ店を営む店主。 …

生来の呪いにより疎まれ隔離されていた彼女は、16歳の誕生日を以てその生涯を終える筈だった。 そんなお話はすっかり変わり果てたものとなり、姫を呪った悪い茨の魔女のせいで、城は滅…

世界征服を成し遂げた前々代魔王、〝アグドゥ・シス・ドルマ〟。今は隠居生活を送っているが、なにやら不満げな様子……？ 「だから言ってんだろ!?俺は、〝優しさ〟なんて持ってねぇよ!…