「卑しい」を含む小説

彼はかつてメロンソーダで満たされていた空のグラスを恨めしそうに見つめた後、グラスを持ち上げた。それから溶けた氷とメロンソーダの残滓の混ざった限りなく透明に近いグリーンをズコー…

人にはそれぞれ好みがある。 だから食事も食べ方は自由だ。 勿論、それが常識の範疇ならば。 確かに食文化的に他国から見れば非常識と感じるものはあるあろう、そう例えば蕎麦をすするとか…

「そなたがこれほど性根の卑しい女だとは思わなかった！今日この場をもってそなたとの婚約を破棄する！」 夜会の会場に現れた婚約者様の言葉に驚き固まるわたくし。 しかも彼の隣には妹が…

「キャサリン・ルーラー 　爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は…

横を歩く沙智のまつ毛から陽の光が溢れ落ちた。ゆっくりとこちらを見る薄茶の瞳。薄いシャツから覗く肌。時間が止まってしまえばいいのに。衣擦れの音が聞こえ蒼い匂いのする風が吹いた。揺れ…

【女性攻め・男受け】の夫婦愛の話。 「卑しい商人上がり」 そう言われながら皇国の中でのし上がったククルシュ公爵家の女当主のシオは、幼いころにさらわれた婚約者・夕星（ゆうずつ）を…

英雄になりたいと必死で足掻く凡人と、それを見守る許嫁の物語。

祖父の葬式に参列するため、初めて母の故郷に行った私は不思議な風習を体験することになる。 「88歳で亡くなったら体に生米を詰める」 「寝ずの番は女の身内が一人で行う」 そしてその晩…

ある大戦で戦果を挙げたエースパイロットがいた。 戦後彼女は騎士道にもとる戦士だとしてその戦歴を書き、世界中から称賛を浴びた。 無数の称賛を浴びた彼女はかつて敵だったパイロットに一…

「シャロン、貴様との婚約は、破棄することにした」 「……はい？」 　侯爵令嬢である私、シャロン・カーディナーは、婚約者であるデイヴィス殿下に婚約破棄を言い渡された。 「あの…

ユルゲン・ドナートは東の海に浮かぶ島国、ザールラント王国の第2王子。 母親の身分が卑しい、10歳まで南の島リューゲン島で育ったという経歴をもち、現国王である兄アルバンからは冷遇…

妖精王ロモンの六王子の一人、ラモンは乞眼(こつげん)の持ち主だった。 乞眼の能力は「奪う事」それゆえ妖精王や貴族達に卑しい力だと疎まれる。 そんな妖精ラモンの元に、かの騎士王ア…

私は、卑しい人間でした。 私の半生は、常に卑しい物でした。 齢六十六で命短くなる日々に、幾多を思い出しても、卑しき物でした。 明日、私は生きられぬかもしれない。私は何処にもいられ…

都会の有名水族館に生まれ育った上流階級のペンギン・葵は、海辺の田舎にある水族館に嫁がされることになる。 身分卑しいペンギンたちに辟易とする葵は、ふとした拍子に親友の言葉を思い出す…

魔族との百年戦争の中、虜囚となり小さな見張り小屋に閉じ込められた「春光の騎士」グリステル。だが、そこを守るオークは、彼女が聞かされていた残酷で卑しい魔物とはどうも様子が違っていた…

卑しい生まれと言われ、神から授かるスキルにも見放された第4王女。 貴族からの支持が少ないせいで、彼女は追放の危機にあった。 母が平民だから。 魔法が使えないから。 新人兵士にす…

殺伐とした平安時代末期（せいきまつ）に戦国の魔王が！ 本能寺の変で死んだはずの織田信長は、北条家の娘として平安末期の関東に転生する。 貴族中心の社会で、女として生まれ、身分も卑し…

３ 「う……ん…………あ……れ、此処……は？」 　仰向けで倒れていた私の視界を支配していたのは辺り一面の霧だった。 　ゆっくりと身体を起こしてみるも、まだはっきりとしない頭と、…

王道武道系異世界ファンタジー！ 相手の殺気を視覚的に捉えて攻撃を先読みできる少女スグと、 あらゆる技を模倣する「守りのリュウ」。 二人は身分の壁を超えて将軍への道を駆け抜ける――…

盗賊に襲われて村は灰燼に帰した。一人逃げ切った少年は魔力に満ちた、暗い森へと逃げ込んだ。これでも魔法使いだ。あくまで弱い魔法と禁呪しか使えないが。 野望がある。ここに魔境を作り上…