まぜまぜ

さいとう みさき

どうもぐちゃぐちゃってのはさぁ……

 ビビンバが来た。

 

 久しぶりに焼肉屋でお食事。

 なのでご飯物を頼むけど、カルビクッパに引かれながらもビビンバを注文する。



「あんたそれ好きだよね?」


「うん、このおコゲが美味しい」


 

 言いながらビビンバを端から少しずつ食べ始める。

 

「うん美味い。あ、コチュジャンつけるともっと旨いな」


「あんたさぁ、なんでビビンバ混ぜないの?」


 彼女は最初からビビンバをぐちゃぐちゃに混ぜている。

 落とされた卵の黄身も、コチュジャンも乗っているナムルも一緒に。

 

 私はどうも料理をぐちゃぐちゃに混ぜるのが苦手だ。

 確かに腹に入ってしまえば同じだが、見た目が何と言うか。

 

 それにぐちゃぐちゃに混ぜてしまったら味が一つになってしまって面白味がない。

 なので混ぜてから食べるのは好きではない。


 彼女はビビンバをよく混ぜながら食べる。



「うん、美味しぃ~♡」



 旨いのは認めよう。

 だがせっかくのナムルも分けられて綺麗だったのが混ぜられてしまい、卵の黄身だって何処に行ったかもわからないようなのはいかがなものか?

 

 カレーライスだって、納豆ご飯だって混ぜるのは嫌だ。

 だって味が全部混ざりすぎて楽しめない。

 各々味を楽しみたいじゃないか?



「お前さ、混ぜちゃうと同じ味になってつまらなくない?」


「うん? 焼肉もあるから別に気にならない」


 確かに他にも料理があるからそれを別に楽しめばいいのだが。


 そうだ、チャーハン。

 これはチャーハンと同じと割り切れば良いのだ!


 目の前でぐちゃぐちゃに混ぜられながら食べられるビビンバ。

 そう、あれはチャーハン、チャーハンと同じなんだ……



「やっぱだめだ。なぁ、ぐちゃぐちゃに混ぜるのって嫌じゃないか?」


「なんで?」


「だって旨そうじゃない。見た目も悪いし」


「でもあんた混ぜそばの時は嬉しそうに最初からぐちゃぐちゃに混ぜてから食べるじゃん。あっちの方が引くわぁ~」



「う”っ」




 この後大人しく食事を済ませましたとさ。 

 

 

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まぜまぜ さいとう みさき @saitoumisaki

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