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概要
恋焦がれても同じ気持ちになることはないと諦めていたのに。
横を歩く沙智のまつ毛から陽の光が溢れ落ちた。ゆっくりとこちらを見る薄茶の瞳。薄いシャツから覗く肌。時間が止まってしまえばいいのに。衣擦れの音が聞こえ蒼い匂いのする風が吹いた。揺れるスカートから垣間見える柔らかそうな白い足。果物の皮に似たその皮膚に歯を当てればきっと。果汁のように滴る液体が喉を潤す。芳醇な香りが鼻腔をくすぐり幸福に包まれる。想像しただけで涎が出てきた。気づかれないように顔を背ける。口を拭うとカーブミラーに映る自分と視線が交差した。その口元はだらしなく緩み。卑しい笑みを浮かべていた。
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