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概要
夢のような夢以外へ
彼はかつてメロンソーダで満たされていた空のグラスを恨めしそうに見つめた後、グラスを持ち上げた。それから溶けた氷とメロンソーダの残滓の混ざった限りなく透明に近いグリーンをズコーッと間抜けで卑しい音を立てて吸い上げる。しとしと降り滴る有音の静寂がズコーッによって破られたせいか喫茶店の外、雨は演奏をオシャカにされたミュージシャンが抗議するかのようにさっきよりも音を増していた。彼はグラスをカツンとテーブルに戻して、それから自分の頬をつねった。
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