小説家専用.短編 『七時間の幸福』

作者 くさなぎ そうし

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★★★ Excellent!!!

熱意のある作家志望の青年と達観した編集者の主人公との対比が面白いです。

夢に向かって何かを始めるとき、誰もが熱意と希望を持って走り出します。しかし全力疾走は長く続かない。必ずどこかで息切れし、立ち止まるときが来ます。ひと休みするのは悪いことではありません。ただ、次に走り出したときにまた全力で走れるか、それとも息切れするのを恐れて力を抑えるのか、そこが一流になれるかどうかの分かれ道だと思います。

この物語の青年は主人公のようにどこかで達観してしまうのか、それとも別の道を進むのか、考えさせてくれる作品です。

★★ Very Good!!

閲覧者の方は合わせて、12月21日の近況ノートを御覧ください。作品に登場する編集者ご自身のコメントが掲載されています。私も編集者のご意見に同じです。
でも、事実は小説より奇なり、と言いますが、こういう事が有るんですね。
個人的には、作者と編集者のファーストコンタクトが気になります。自費出版でも、まずは原稿を出版社に送るんですね。考えてみると、当たり前か。

★★★ Excellent!!!

若者の情熱が編集者の心に火をつけ、彼に夢を思い出させる――とても美しい物語です。

読後感も素晴らしい。編集者の余命が短いことに確かに悲しみは感じるけれど、それを上回る希望がある。その悲しみの混ざった希望のなかに、彼らの未来を読者に感じさせます。とても深い作品であると感じました。

これは一意見なのですが、若者の小説の、どの部分が編集者に「読めない」と感じさせるのか、私としてはそこのところをもう少し詳しく知れたらよかったな、と思いました。

この作品に描かれた、編集者と若者のかけがえのない「七時間」――それは二人に新たな人生の意味を与えました。
再びこの「七時間」がやってくるのか――とても楽しみです。

★★★ Excellent!!!

情熱だけで突っ走る作家志望の若者と、達観と諦念を纏った老練の編集者。夢と現実を象徴するような二人です。
創作に関わる者の内面では、常にこの二人がせめぎ合っているのではないかと思います。
真摯に理想を追い求めるべきか、あるいは評価されるため堅実な作品を作るべきか、もしくは、諦めるか。
そういった自身の葛藤を投影しながら読ませていただきました。
だからこそ、この結末が嬉しかったです。

濃縮された15分をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

編集者と作家志望者の『七時間』。夢というものは、生半可な気持ちで見られるものではない。文字通り、命懸けで書き、掴み取っていくものなのだ。真っ直ぐに夢を見る若者の情熱は、ビジネスの世界で生きている編集者の心を動かした。次は、作品を世に出し、読者の心を動かすことができるか。戦いは続く。

★★★ Excellent!!!

どなたかも書いていらっしゃいますが、この登場人物ふたりのどちらサイドから読むかで味わいが違います。

一人称語りの編集者側から読んで残りの人生と若者の未来を想うか。
編集者が語る若者側から読んで目指す夢と現実の狭間で思い悩むか。

うう〜んと唸ってしまう読後感。
ここカクヨムを利用する人ならきっと感じることがあるはずです。

ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

ホメロスの叙事詩で、神々によって投げ掛けられた言葉に対して、“翼ある”という枕言葉が使われています。
“翼ある言葉”とは何かというと、学術的には全然正しくない勝手な解釈で、私はイメージ喚起力だと思っています。
この作品には空から生まれるイメージを感じさせます。

★★★ Excellent!!!

とてもよい余韻を残してくれる短編。
特にカクヨムで物語を書いている人には、胸にそっと滑り込む感じだと思います。
本に懸ける思いは人それぞれ、でもその根はきっと同じところにある。そんなことを感じさせる短編でした。
ちょっと自信を無くした時に読んだりするといい薬になると思います!

★★★ Excellent!!!

とある敏腕編集者が自費出版を希望する若き作家と語り合う。
ただそれだけの物語。
一般の読者なら「ふーん、良い話だね」で終わってしまうかもしれません。

しかし、此処はカクヨムです。もし、貴方がカクヨム作家であるというのなら、ご覚悟を。
貴方は必ずや作中に自身の姿を重ねる事となるでしょう。

私も、「カクヨムに来る前の自分」を見つけました。
ただ黙々とひとりで作品の推敲を重ね「これ以上は絶対ない」と満足していた日々。

甘い。その物差しが、どこまで通用するか判らんのだぜ?
では、今の自分は? …現実を語る編集側に共感しているのか?
その時よりも成長しているのか? 本当に?

言わぬが華です。
貴方が位置している場所、それを この作品はごく短時間で暴き出してしまいます。それゆえの覚悟。

―― 鏡を覗いてみる勇気がありますか?


★★★ Excellent!!!

50歳を過ぎた自分が失った情熱、夢、ひたむきさ──。
主人公がビジネスとして出会った人物は、今まさにそれらを持って生きている青年でした。
彼と向き合う7時間の中で、主人公の心情が徐々に変わっていきます。

目指す未来を重ねられる人間と出会えたとき、人はもう一度輝ける。
人生の奥深さを感じることのできる、素敵な大人の友情物語でした。


★★★ Excellent!!!

自費出版をきっけとして、小説家になりたい若者と、それを請け負う編集者の物語。
リアリティあふれるストーリー、二人の会話、物語としての盛り上がり、どれもが卓越した文章力で描かれています。
酸いも甘いも経験した男が、消えていた心の炎を再度燃やそうと決意する、そのテーマが読み手を引き込みます。
転換点で驚きましたか、これが短編ならではの妙味ですね。
拝読して、良かった。ありがとうございます!