「鮮やか」を含む小説

　教育大を出て、四年目の春が来る。 　新学期より、新しい赴任先に就くことになる俺は、早くも胸躍らせたものだった。 　瞼の裏に残る鮮やかな色彩のカンバス。忘れられなかったその作品…

時を重ねるほどに、想い出は深まり、色鮮やかな花のように香りはじめる。一瞬にして終わることのない記憶の数々を描く。

冷たい住宅街の、さらに冷たい場所に住む主人公　桜。彼女は桜の季節に生まれた美しい高校生。桜の蕾が膨らんできたある日、北風が吹き荒ぶ寒い中、都会へ出た。 彼女の心の中を、あるがま…

私はその日の気分を日記にしたことはない。ただ、その日に撮った写真をまとめていた。 この色鮮やかな写真たちが私にとっての日記である。

日々の生活の中で溜まった心の澱を、私は紙飛行機にしたためる。私は梶井基次郎のようになりたかった。

【あらすじ】 高校三年生、元宮 煌（もとみや こう）。 通学途中、地下鉄を降り地上へ上がると大通り沿いに面して、オフィスビルやショップが建ち並ぶ。 その一つに、パッと目を惹く外…

「私」と少年は、重い病気を抱えていた。孤独に震える私は、無理だと分かっていても彼にすがりつく。……すがりつく、しかなかった。 ──私を置いていかないで、と。 ──私より先に死なな…

　杉原雪花は中高一貫校に通う中学三年生。 　三人兄妹の末娘として可愛がられて育ち、明るくよく笑う性格で友人も多い彼女は、何の変哲もない日常を気ままに謳歌しているように見せかけて、…

「あの日助けて頂いたナカツルと申します」 　助けたなんてとんでもない。二〇一九年のある日、都内屈指のゲイ・タウン宿木橋にてノンケながらバー『緑の兎』で雇われ店主を務める上之原承は…

Twitterで最近始めた140字小説です。 鮮やかでいたい。 鋭くいたい。 だけどやわやわなハートで書いてます。

女は一人、心を燃やしていた。 自らが最愛を奪った影を、必ずこの手で摘み取ろう。 禁忌を犯した者共を屠ることで、女の野望は急速に蕾を膨らませていく。 舞台は様々な天候を彩る花々の…

名前に二つの龍を持つ男、二頭龍探偵の龍野士竜はピザの配達員と探偵の二刀流。 ピザの配達先でたまたま出くわした密室の謎に挑む！

【あらすじ】 かいり:著/媛貴:キャラクターデザインの近未来SF小説「Hypnotic Mother(以下「催眠ママ」)」が未完のまま『猫箱』状態になってしまった為、『猫箱』の外…

ポストに入っていたある招待状。 差出人を見た瞬間に蘇る記憶。 純粋で不純で、眩しく暗かった青い日々。 すべてはあの春の日から始まった。

――託そう。我等七賢者のエリビオを継ぎし子供等に。ライランを導く光に……。 人間の国『ライラン』 魔物の国『ダルワッド』 ライランにはその昔から、『エリビオ』という七つの人…

　雪の果てを迎える季節であったが、日本海沿岸を走る列車には変わらず過酷な雪が降り注いでいた。親不知駅で運行停止となった列車には男と女の二人が残されることになった。お互いに名前さえ…

【あらすじ】 ある作家は企画で百物語になぞらえてショートストーリーを百話集めた短編集を製作することになった。しかし作品を書き始めると彼の周辺で奇妙な出来事が起こり始める。 本作…

色鮮やかなドレス、キラキラと星屑を散りばめた装飾品。花が咲いたようなお化粧をしたお姫様達。その中で私は、使い古してくたびれた給仕服で、何をつけたかわからない汚れを気にしながら、そ…

　芸術だとか、好奇心だとか。 　時折人は爆発する。 　その様を美しいものだとするモノに、私はなりたい。